噛み合わせと耳症状(難聴・耳鳴り・めまい)
- 2026年8月17日
- 噛み合わせ,噛み合わせが悪いと出る症状,耳症状
噛み合わせが悪いと様々な全身症状を発症します。噛み合わせが悪いと出る全身症状を、「咬合関連症」と呼びます。これらの症状は噛み合わせの状態により左右されます。嚙み合わせが悪いと出るで症状の一つに「耳症状」があります。耳鳴り・めまい・耳詰まり・難聴などです。今回は、噛み合わせと耳症状の関連性についてのお話です。
耳症状が出た場合、まず初めに必ず耳鼻科を受診してください。耳専門の科で、耳に問題がないかを診ていただく必要があります。耳に根本の問題があるのに、そちらを処置せず噛み合わせの治療を行っても良くなりません。耳鼻科の先生が診断したうえで、耳自体には問題が無かった場合は、他の原因を考える必要があります。その原因の一つに「噛み合わせ」が考えられます。ここ数年では、噛み合わせと全身症状の関連性が広く一般的にも浸透しているため、耳鼻科の先生から「噛み合わせに問題があるのでは」とご紹介頂くケースも非常に増えています。一方で、噛み合わせに問題があるのに、原因不明とされてしまう症例もあります。
噛み合わせ由来の耳症状
・耳鳴り
・難聴(突発性難聴・老人性難聴など)
・耳詰まり
・めまい(頭位めまい症など)
・メニエール病
など
噛み合わせと耳症状の関連

噛み合わせが悪いことで耳症状が発症してしまう原因の一つが、顎関節と耳の物理的な距離の近さです。顎関節と耳はすぐ隣に位置しています。耳の穴に指を入れて口を開いたり閉じたりと、顎を動かしてみると、指に振動が伝わるのが分かると思います。このように顎の動きは耳から感じ取る事が出来ます。顎を正常な位置で正しく動かしていても、耳には顎の振動が伝わります。顎の関節がずれ、異常な動きをすると、耳には過度な負担がかかりこれが耳の症状を引き起こすと考えられています。
特に、奥歯で物を噛む癖がある方は要注意です。奥歯を過度に使っていると、全体でみたときに奥歯がどんどんめり込むような顎の位置に変わっていきます。そうすると、下顎の付け根がどんどん上に突き上げていき、耳の穴を物理的に圧迫してしまいます。

こういった症例では、奥歯で噛む「噛み癖」を減らし、全体を使ってバランスよく噛む様に噛み方を変えていくことで、症状が改善することがあります。その為にも、ご自身の噛み癖を認識し、正しい噛み方ができるように治療することが大切です。
噛み合わせの治療により聴力が改善した症例

初診時は、奥歯でばかり噛む咀嚼習癖が確認されました。全体でバランスよく噛む様に噛み方を改善し、また噛めていない歯の歯科治療を行ったところ、聴力の改善が見られました。
長坂歯科が聴力と噛み合わせの研究を行うようになったきっかけ
長坂歯科は開業当時より、「歯を抜かない治療」を診療理念としてきました。これは初代院長から受け継がれた考え方であり、今では一般的ですが、開業当初は百年以上も前だったこともあり、非常に珍しく画期的な考え方で、全国から多くの「歯を抜かずに治療したい」患者さんがご来院なさっていました。当院の「歯を抜かない治療」の理念には「歯は一つ一つが独立したものではなく、すべてそろうことで一つの器官である」という考えから来ています。一本一本それぞれの役割を大切にし治療を進めていくうえで、「すべての歯でバランスよく噛む」ことの大切さにたどり着きました。
以前、長坂歯科の横に耳鼻科があり、共通の患者さんがたくさんいらっしゃいました。ある時、耳鼻科の先生から、「難聴や耳鳴りの患者さんが長坂歯科で治療したら、症状が改善している」と報告を受けました。「何か特殊なことをしているのですか?」と聞かれましたが、長坂歯科ではすべての歯でバランスよく噛む様に指導をしている、歯科医院では当たり前のことをしていますとお話ししました。。次第に全国から多くの「噛み合わせ」でお悩みの患者さんがいらっしゃるようになり、東京歯科大学・東北大学などと協力して、聴力と噛み合わせに関しての研究を行うようになりました。
噛み合わせと耳症状の論文
長坂 斉、佐藤 亨、高江洲義矩、石川達也:咀嚼習癖に関連する聴力の動態、全身咬合学会誌、6(2)、147-152、2000、
長坂斉、中村昭二、青木聡、永原邦茂、渡邊誠、星詳子、松久保隆、石川達也:咬合と聴力に関する臨床的研究 その4.咬合関連聴力低下の偏位咀嚼分類(私案)からみた臨床調査、全身咬合、9(1)22~30、2003