噛み合わせによる難聴・めまいについて
噛み合わせによる難聴・めまいについて
「難聴・耳鳴り・めまい」これらの症状が出た場合、まずは必ず耳鼻科を受診しましょう。耳鼻科でも原因が分からず、異常が無いと言われた場合は「噛み合わせ」も疑ってみてください。ここ数年、耳鼻科の先生から「耳には異常が無いのに、耳症状がみられるので噛み合わせを調べてください」とご依頼されるケースが増えてきています。「耳症状」と「噛み合わせ」の関連は、臨床現場においてもだいぶ広まっています。
当院ではこれまで、噛み合わせと聴力・全身の関連性について大学病院と共同研究を行ってきました。その結果それぞれが密接に関係していることが解明されてきました。
特に聴力は噛み合わせのバランスを診るうえで非常に重要であることが分かってきました。そのため当院では、治療ごとに聴力・全身のバランス・姿勢等をチェックし、客観的なデータを取ることで噛み合わせ治療を行っています。
突発性難聴・老人性難聴・耳鳴り・耳詰まり・めまい・立ちくらみなどがあります。また噛み合わせが原因の耳症状には以下のような症状もよく見られます。
耳鼻科で解決しない難聴・耳鳴り・めまいは、いわゆるメニエール病(メニエール症候群)といわれ、その原因は不明とされている病気です。そのような場合は、噛み合わせ異常が原因の可能性が高いです。噛み合わせ異常によって引き起こされる症状は、耳鼻科受診のほか、歯科で噛み合わせを治療する必要があります。
耳症状がある方は、口腔内の異常も原因として疑ってみてください
噛むときに動いている「下顎」「咀嚼筋」と、聴覚器官の「耳」は側頭骨を介してつながっていて、距離もすぐ近くです。噛み合わせに異常が出ると、顎運動の異常により、耳にも影響が出てきます。
ほとんどの人は、通常噛むという行為は「奥歯でするもの」と考えます。長年奥歯でだけ噛む「偏った噛み癖」があると、奥歯だけがすり減ってきます。奥歯の高さがすり減って低くなってくると、下あごの付け根(下顎頭)が顎関節にめり込んでいってしまいます。
下顎骨が顎関節にある関節円板を圧迫し、噛みしめ時の物理的刺激をやわらげなくなることで、耳症状につながると考えられます。また側頭骨内部、三半規管内に存在するリンパ液の動きに影響を与え、めまいなどの症状にもつながります。
耳鼻科で老人性難聴と診断されるも、耳鼻科の先生から噛み合わせも調べるように言われ紹介されました。頭痛、肩こりなどの全身症状もあります。
頭痛、肩こり、腰痛、耳鳴り、右側顎関節症状。耳鳴りで耳鼻科受診をし、聴力検査したと際、初めて左側の難聴(骨伝導、気導共低下)が確認された。
右上奥歯の歯が抜けたまま放置。
長年の欠損歯放置と、左奥歯ばかりつかう偏った噛み癖がみられる。
長期間欠損していた、右上奥歯の義歯を作成し、全体の歯でバランスよく噛むように咀嚼指導。数か月後、患者様本人が体の調子が良くなってきたことから自発的に再度大学病院耳鼻科に行き、聴力が大幅に回復していることを確認。治療の前と後で聴力の改善が見られます。左右での聴力値の差が改善され、バランスよく聞こえるようになっています。
通常老人性難聴は、自然現象(高齢が原因)とされていましたが、老人性難聴と診断を受けた中にも、噛み合わせを改善することで回復する症例が含まれていることが分かりました。当然、耳の問題ですので、耳鼻科で見ていただくことが大前提ですが、その症状の中でも噛み合わせが原因の一つだったというケースも少なくありません。噛み合わせの変化に応じて、聴力が変化する為、聴力低下、特に原因不明とされている疾患において、噛み合わせがその原因の一つと考えられます。
めまいがひどく耳鼻科でメニエール病といわれる。その原因に噛み合わせの可能性があるといわれ大阪の耳鼻科からの紹介で受診。
耳症状(耳鳴り、難聴、回転性のめまい、たちくらみ)、耳鼻科ではメニエール病といわれる。頭痛、肩こり、右腕がしびれてあげられない。顎関節症状(口を開けると音が鳴る)。
左下奥歯が虫歯で痛みがある。右側犬歯、第一小臼歯の歯列不正で、バランスよく噛めない。
長年の虫歯と、歯並びから、左奥歯で噛む偏った噛み癖がみられる。偏った噛み癖から、頭位のゆがみ、姿勢のゆがみが起き、耳症状・全身症状を引き起こしていたと思われる。
虫歯を治療。歯列不正は矯正などせず、その歯並びでもバランス良く噛めるよう、噛み方を指導。噛み方を意識しただけで長年悩んでいたメニエール症状が完全に消失。めまい、立ちくらみ、頭痛、肩凝り、手の運動機能障害などの全身症状も一回目来院以来起きていないとのこと。
長年の虫歯放置と歯並びからメニエール様症状がおきていましたが、噛み合わせ治療で改善しました。歯並びは矯正をしたわけではなく、その歯並びでもバランスよく噛めるように、噛み方を意識しただけで症状が治りました。このように、ご自身にあった正しい噛み方が重要です。治療による聴力の改善が認められます。
以前より、ご近所の耳鼻咽喉科の先生から「長坂歯科で治療した患者様が、聴力が改善しているのですが」といわれることがありました。患者様からも「治療をしたら耳鼻科の先生に耳が良くなっていると言われました」とおっしゃっていただくことが何度もありました。耳鼻咽喉科の先生に確認したところ、それまで老人性難聴と診断した患者様の聴力が、噛み合わせ治療後に改善しているケースが多々みられました。その後も同じような方が何人もいらっしゃいましたので、ひょっとしたら噛み合わせと聴力には関係があるのではと思うようになりました。そして東京歯科大学や東北大学の先生方と共同研究をするようになったのです。いまでは臨床においても噛み合わせと聴力の関連性はだいぶ浸透し、最近では耳鼻科の先生から治療をご依頼されるケースが増えてきています。
聴力と歯科治療の歴史的背景(コステン症候群)
1934年アメリカの耳鼻科医コステンにより、歯の治療で難聴が治るという論文が発表されますが、当時は聴力計が無く、確認の方法がありませんでした。1943年、解剖学者シャピロにより、計測不能のためその関連性が否定されました。1990年頃より東京歯科大学学長故石川達也先生の依頼で東京歯科大学・東北大学・長坂歯科が共同研究し、聴力と噛み合わせの関連性が確認されました。