噛み合わせによる頭痛について
噛み合わせによる頭痛について
マッサージ等で一時的に改善しても、顎のゆがみからくる頭の位置のずれが治らない限りは根本の解決にはなりません。顎のゆがみを治すためには、噛み合わせを治療していく必要があります。
長年、前歯を使わず、奥歯でばかり物を食べたり、食いしばる習慣のある方は要注意です。
奥歯ばかりに負担をかけていると、奥歯のすり減り(咬耗)や奥歯の喪失が起こります。すると咬合高径(噛み合わせの高さ)は奥歯に行くにつれて低くなり、頭が後方に傾斜していきます。頭の後方重心移動が起きると、その位置で姿勢を保とうとするため頸椎・胸椎・腰椎にゆがみが生じてきます。ストレートネックや猫背、ヘルニア、手指の神経麻痺などにつながっていきます。さらに前傾姿勢は腰から膝の関節にかけて影響を及ぼし、腰痛や変形性膝関節症などの症状を引き起こします。前後的な噛み方(とくに奥歯でばかり物を噛むという偏った噛み方)が顎の位置を歪め、体の各部位に様々な症状を引き起こしてしまいます。
手に利き手があるように、歯も無意識で噛みやすい側と噛みにくい側が出てしまいます。また、虫歯や抜けている歯があることで、左右的に偏った噛み方をしてしまうことがあります。左右で偏った噛み方を続けていると、片側の歯がすり減り、左右の噛み合わせの高さに差が生まれ、頭全体が左右的に傾いていきます。頭が傾くことで、頭を支えている周囲の筋肉に緊張が生じ頭痛・首こり肩こりなどの全身症状が生じます。
前後、左右的な偏った噛み癖を「偏位咀嚼」といいます。偏位咀嚼は頭の位置を噛み癖側に傾けてしまい、体の中心軸である脊椎(頸椎、胸椎、腰椎)にゆがみが生じます。これが頭痛、肩こり、腰痛などの皆様がお困りの全身症状として現れます。
偏った噛み方(偏位咀嚼)を起こさないために大事なことは2つです。
噛み癖を意識していくことと、その発症要因になっている歯科疾患を治療することで、前後左右すべての歯で均等に噛めるようになります。この正しい噛み方こそが全身症状の改善につながります。
ひどい頭痛に悩まされており、かかりつけの病院や頭痛外来でMRI等を取り精査するも、脳に問題がなく原因不明といわれたそうです。しばらくすると口が開きにくくなり、長坂歯科を受診なさいました。
全身症状として、頭痛、左右の慢性的首こり肩こり、腕があげられない、顎関節症状がありました。さらに頭痛に伴う激しい耳鳴り、立ちくらみがありました。噛み合わせの検査をしたところ、左側奥歯での偏った噛み癖が確認されました。口腔内の状況としては右下奥歯のブリッジが破損しており、右側で噛むことができず、長年左側だけで物を食べていたとのことでした。また、長年の偏った奥歯での咀嚼習癖から、奥歯の高さがすり減り、顎が前後的にゆがんでいる状態でした。
右下の壊れているブリッジを作り直し、前歯も含め全体でバランスよく噛むような「噛み方の練習」をしていきました。治療により全身症状が改善し、長年悩まされていた頭痛も起きなくなりました。
この症例では、長年の偏った「奥歯での噛み癖」が原因となり、顎の位置のゆがみ、頭の位置のゆがみが起きることで頭痛、肩こりをはじめとする全身症状が起きていたと考えられます。
仕事中に突如激しい頭痛に襲われ、すぐに脳神経外科を受診したところ異常が無いといわれたそうです。以前より激しい耳鳴りがあったということでした。歯の痛みもあったため長坂歯科を受診なさいました。全身症状として、激しい頭痛、首肩こり、腰の痛み、めまい、耳鳴り、倦怠感、歩くとすぐに疲れてしまう等がありました。
噛み合わせを検査したところ、左右ともに大臼歯での偏った噛み癖が確認されました。口腔内では小臼歯部に虫歯、根の病巣が確認され、噛めていない状況になっていました。また、長年の偏った奥歯での咀嚼習癖から、奥歯の高さがすり減り、顎が前後的にゆがんでいる状態でした。虫歯治療、根管治療を行いすべての歯でバランスよく噛めるように治療をしました。治療により頭痛、耳鳴りなどの全身症状が改善し、体が軽く、歩く速度も三倍速くなったとのことでした。
この症例では、虫歯や根の炎症などで噛めない歯があったことで、少しずつ偏った噛み癖がついてしまい顎の位置、頭の位置のゆがみが起き、頭痛、耳症状をはじめとする全身症状が起きたと考えられます。
口を開けようとしたとき、左顎に痛みを感じ口が開けられなくなったとのことでご来院なさいました。初診時の問診により、長年原因不明の頭痛に悩まされているとのことでした。口腔内を調べたところ左右の小臼歯部に虫歯があり長年放置していたようです。また前歯のかぶせものも劣化し、奥歯でしか噛めない状況になっていました。歯科治療により、全体でバランスよく噛めるようになったところ、顎関節の症状の改善だけでなく、長年の悩みであった頭痛症状も改善しました。
以前当院を受診なさっていた患者様が、お久しぶりにヘルパーの方とご来院なさいました。ご高齢になったことで通院できなくなってしまったそうです。2~3年前より、昔に作った入れ歯が徐々に合わなくなってきたそうで、使わなくなってしまったようです。入れ歯を使用しなくなってから、歩行が困難になり、耳も聞こえにくくなったとのことでした。口腔内を拝見したところ、入れ歯を支えている歯がぐらつき、粘膜がやせてしまったことで、入れ歯が合わなくなっているようでした。入れ歯を新しく作り、全体でバランスよく噛めるようになったところ、聴力が改善し、問題なく歩くことができるようになりました。バランスよく噛めるような入れ歯を作ることが非常に大切ということがわかります。
また治療前と治療後で左右の聴力値が改善しました。