食いしばり・歯ぎしりからくる耳の症状を治す
- 2025年7月29日
- 噛み合わせ,耳症状,歯ぎしり・食いしばり
長坂歯科は日本全身咬合学会の指導医・専門医が、検査・診断・治療を行っているため、全国から多くの「噛み合わせの不調」をお持ちの患者さんがご来院なさいます。噛み合わせの症状のうち、食いしばり・歯ぎしりのご相談で来院なさる方はここ数年増加傾向にあります。食いしばり・歯ぎしりが主訴の方に問診を取ると、耳鳴り・耳詰まり・難聴・めまい・メニエール症状などの耳症状を併発している方が非常に多いです。今回は耳症状と食いしばり・歯ぎしりの関係についてのお話です。
食いしばり・歯ぎしりの問題点
食いしばり・歯ぎしりと聞くとそれだけで悪いものと考えられてしまいますが、決して悪いものというわけではありません。食いしばり・歯ぎしりは生理現象です。だれしも行っているものです。ですがそこにも度合いというものがありまして、通常よりも過度な力がかかってしまう場合があります。また、奥歯でばかり食いしばるなど、特定の部位に過度な力がかかってしまうこともあります。
大きく分けると、3つに分類することができます。
①すべての歯でバランスよく咬合力を分散できているが、発揮される咬合力が強すぎる
②発揮されている咬合力は正常だが、すべての歯でバランスよく咬合力を分散できていない
③発揮されている咬合力が強すぎるうえ、すべての歯でバランスよく咬合力を分散できていない
まずは、ご自身がどれに当てはまるのかを、噛み合わせの専門の病院できちんと検査・診断しましょう。
奥歯で食いしばる方は要注意!!
奥歯で歯ぎしり、食いしばりをしてしまう方は注意が必要です。食文化などの関係もあり、日本人はもともと圧倒的に奥歯を使う傾向があります。右手でお箸を持ち、お米を食べます。お米をすりつぶすための歯ですから奥歯はそのまま「臼歯」と呼ばれているくらいです。ですから、食事中はどうしても奥歯で噛む「噛み癖」が染みついています。これはなかなか注意してもやめることはできません。お米を前歯でたべるなんてそうそうできませんし、だからといってあんなにおいしいお米を食べずに生活するなんて到底できませんもんね。ですから、ベースとして、「奥歯を使いやすい」という傾向があります。その噛み癖が日常生活でも発揮されてしまい、ご飯を食べているとき以外でも奥歯に力がかかりやすい状況になってしまいます。
奥歯で歯ぎしり・食いしばりをする傾向が強いと、ほかの歯に比べて奥歯が著しくすり減ってしまいます。すり減った分、顎は後上方へ沈み込んでいってしまい、顎位が変化していきます。顎位が後上方へ沈み込んでいくと、顎関節がめり込んでいき、顎関節症の症状が出ます。口が開きにくい、口を開くと顎から音が鳴る、顎が痛いなどの症状ですね。
顎関節がめり込んでいくと、真後ろにある耳の穴も圧迫されていきます。耳の穴に過度な圧が加わることで、耳詰まり・耳鳴り・難聴・メニエール症状などが発症してしまいます。
すべての歯でバランスよく噛むことが大切
すべての歯でバランスよく咬合力を受け止め、噛み合わせを良くすることで、噛み合わせ由来の症状を改善することが大切です。食いしばり・歯ぎしりがひどく、耳に症状がある方は、ぜひ一度噛み合わせを調べてみてくださいね。