その症状、歯周病かも

　歯がぐらぐらする、歯ぐきから血が出る、歯ぐきが腫れる、口臭が気になる・・・

これらの症状は「歯周病」です。はじめは、歯と歯の間に物が挟まりやすくなったり、歯ぐきが下がって歯が長く見えたりするなど、あまり大きな症状ではないのですが、次第に、出血し腫れて、揺れ始め、最悪の場合は歯が抜けてしまうこともあります。

　歯医者さんで「歯周病」と診断をされると、「しっかりと歯を磨きましょう」と説明を受けると思います。勿論、しっかりと歯のクリーニング・メンテナンスをしていくことはとても重要です。ですが、「自分ではしっかりクリーニングをしているのに、歯周病が良くならない」と感じる方も多いのではないでしょうか？

　・歯医者さんで教わった通りに磨いているのによくならない

　・定期的にメンテナンスに言っているのに歯を抜くように言われた

　など、歯周病に関するお悩みをご相談にいらっしゃる患者さんは非常に多いです。

　　実は歯周病には「よごれ」以外にも様々な原因があります。ご自身の歯周病の原因をはっきりと特定し、原因に対する治療を行う必要があります。　

歯周病の症状

　歯がゆれる

　歯ぐきから出血する

　歯ぐきが腫れて、痛む

　食後、歯と歯の間にはさまる

　歯と歯の間の隙間が目立つ

　口臭が気になる

　痛みが出て噛めない歯がある

　冷たいものがしみる

 

歯周病ってどんな病気？

　歯は、歯槽骨という顎の骨から生えています。歯槽骨の表面には歯ぐきがのっかっていますので、外から見ると、歯は歯ぐきから生えているように見えますが、実際は歯槽骨から生えています。歯を支える歯槽骨が何らかの原因で吸収してしまう病気が歯周病です。

　歯槽骨が吸収すると、歯周ポケットという隙間が出てきます。歯周病が悪化するほど歯周ポケットは深くなっていきます。歯周ポケットは歯ブラシなどでは届かないので、よごれがたまりやすく菌が繁殖しやすい環境になってしまい、歯周病がより悪化をしていきます。

噛み合わせの異常が歯周病の原因に！！！

　「歯周病」には様々な原因があります。磨き残し・よごれがあると歯周病の原因菌が繁殖してもしまう事がありますし、持病や免疫力の低下・ホルモンバランスや体調によって起きてしまうこともあります。またそれらの原因が単一で起こるというよりは、様々な原因が複雑に重なり合って発症します。その原因の一つに「噛み合わせの異常」があります。

　「噛み合わせ」と「歯周病」

　実はこの2つは密接に関係しており、歯周病の原因を調べ治療をしていくうえで、噛み合わせの検査をすることは何よりも大切です。

食べたり、しゃべったり、集中している時、人間の歯には力がかかっています。歯にかかる力のことを「咬合力」といいます。咬合力は最大で自分の体重以上の力がかかることもあります。こんなにも強い力を、歯は受け続けないといけません。

　そのために歯はすべて生えていると28本あります。28本の歯で、強い咬合力を分散して受け止める役割をしています。すべての歯を使い、均等にバランスよく咬合力を受け止めていれば問題ないのですが、偏った噛み方をしてしまうと、咬合力が上手に分散できません。やたらと負担を受けなくてはいけない歯と、全く負担を受けなくていい歯の偏った差が生じてしまいます。過度な咬合力の負担を受ける歯は、支えの歯槽骨が吸収してしまい、歯周病になってしまいます。

 

原因を考えた歯周病治療を

　歯周病には様々な原因があります。原因に対し適切にアプローチをしていかなければ治療の効果がありません。噛み合わせが悪いことで発症した歯周病に対し、クリーニングを繰り返すだけでは一向に症状は改善しませんし、逆もまた然りです。歯医者さんや衛生士さんに言われたとおりにクリーニングをしているのに改善しない症例などは、別の原因があるのではと考えることが大切です。

　噛み合わせに問題があり、バランスよく噛めなくなったことで、特定の歯に過重な負担がかかり歯周病になることがあります。この際は、他の歯でも噛めるように治をする必要があります。抜けている歯があったら、補綴治療をし、詰め物や被せものが劣化して噛めていない場合等は作り直します。また、噛み癖により偏った噛み方をしている場合は噛み方から改善していきます。

　噛み合わせバランスが悪くなり、歯周ポケットが深くなってしまった歯は、クリーニングも並行して行わないといけません。深いポケット内の食べかすは自分では綺麗にする事が出来ないので、歯科医院での適切なクリーニングをしましょう。

 

　歯周病を改善させるためには、まずご自身の歯周病の原因は何であるかをしっかりと分析・診断し、原因に対する治療を行っていくことが一番大切です。噛み合わせに不安がある方はぜひ一度ご相談ください。

歯周病と噛み合わせの文献

・長坂俊幸,矢野秀佳,長坂斉:聴力を指標とした咬合バランスの改善による歯槽骨の回復と全身症状の軽減した症例報告その1,日本全身咬合学会雑誌23(1),11-16,2017

・長坂俊幸,矢野秀佳,長坂斉:咬合バランスの改善により突発性難聴をはじめとする全身症状に改善がみられた症例,日本全身咬合学会雑誌24(2),56-61,2018