歯ぎしり・食いしばりがひどいと耳症状が出る!!
- 2025年11月6日
- 噛み合わせ,歯周病,噛み合わせが悪いと出る症状,耳症状,顎関節症,歯ぎしり・食いしばり
噛み合わせが悪いと、様々な症状が出てしまいます。噛み合わせ由来の症状を総称して、咬合関連症といいます。咬合関連症は、歯周病・虫歯をはじめとした口腔内症状と、それ以外の全身症状に分類されます。
ここ数年では、噛み合わせと全身症状に関する認識は一般的にも広く浸透してきました。長坂歯科は日本全身咬合学会の指導医・専門医が治療を行う、噛み合わせの専門医ですので、全国から多くの、「噛み合わせに関する不調」をお持ちの患者さんがご来院なさいます。最近では、全身症状のご相談でご来院なさる方が非常に増えています。また耳鼻科や内科など、他科からご紹介・ご相談いただく症例も非常に多いです。
噛み合わせに関するご相談の年齢層は、非常幅広いです。最近は、若い方も非常に多く、年代関係なく噛み合わせのお悩みはあるようですね。10代・20代・30代・40代の方で特に多い噛み合わせのご相談は「歯ぎしり・食いしばり」「耳症状」「顎関節症」です。この3つの症状は非常に密接にかかわっています。
歯ぎしり・食いしばりから様々な症状が
歯ぎしりや食いしばりがひどく、朝起きた時につかれているといった経験はありませんか。寝ているときや仕事中お勉強中の歯ぎしり・食いしばりは無意識でしてしまいますので、自分では注意していてもなかなかやめることができません。歯ぎしり薬師縛りの際に発揮される咬合力は最大で自分の体重の1.5~2倍程度とも言われています。そう考えると、知らず知らずのうちにとんでもない力が歯にかかっています。これが蓄積されていると考えると、歯は非常に過度な負担を受けて大変ですね。
ですが、歯ぎしり食いしばりは基本的にすべての人がしている生理現象です。歯ぎしり・食いしばり自体がいけないというわけではありません。すべての歯でバランスよく、適度に歯ぎしり・食いしばりを負担できていれば全く問題ありません。歯ぎしり・食いしばりの問題点は以下の3つです。
①歯ぎしり・食いしばりを、すべての歯でバランス良く負担できていない状態
②歯ぎしり・食いしばりで発揮されている力が異常に強い
③上記①②両方が合わさっている場合
基本的には③の方がほとんどです。皆さん歯ぎしり食いしばりの際に発揮する力が過度になっていて、かつ、それを特定の歯で偏った受け方をしてしまっています。さらに、ほとんどの日本人が、大臼歯(奥歯)だけでうけとめている「噛み癖」を持っています。
歯ぎしり・食いしばりの際に発揮される力が異常に強く、かつ、その力を奥歯でしか受け止めていない。ほとんどの方がこれに当てはまります。そうすると、奥歯には過度な負担がかかっていきます。
さて、奥歯に過度な負担がかかるとどういった問題が出てくるでしょうか。口腔内で見ると、過度な負担を受ける歯を支えている骨が吸収してしまい、奥歯に限局した歯周病が発症します。そこから知覚過敏や虫歯が発症したり、神経が悪くなると、根っこの先が痛くなる根尖病巣や、歯が割れてしまう歯根破折が起きて、最悪の場合抜歯となってしまいます。


どこかが抜けると、今度はそこをかばうように、偏った噛み方をしてしまい、さらに噛み合わせが悪くなっていくという悪循環に陥ってしまいます。

口腔内だけでとどまる場いいのですが、噛み合わせが悪くなると、今度は全身にも様々な症状が発症します。奥歯に過度な負担がかかると、ほかの歯と比較して奥歯が著しくすり減っていきます。そうすると噛み合わせの平面がずれていきます。奥歯に行くにつれて沈み込むように、顎がうしろにめり込んでいってしまいます。この顎位の変化が様々な症状を引き起こしてしまいます。顎位が後ろにめり込んでいくと、下顎の付け根は顎関節にめり込み圧迫していきます。はじめは口を開く際顎から音が鳴ったり、口を開きにくくなったりと、顎から違和感が出てきます。たいていの方は違和感程度なので放置してしまいます。ひどくなると、顎が痛くなったり、口が開けなくなったり、顎が外れてしまいます。さらにこの顎関節症と併発して、耳の症状が出てしまいます。
顎関節と耳の穴は非常に近い距離にあります。下顎の付け根が顎関節にめり込んでくると、耳の穴を圧迫していき、噛み合わせ由来の耳症状が発症してしまいます。

この状態で、耳鼻科を受診し、耳を調べると、耳に問題がないので原因不明性の耳症状と診断されてしまいます。ここ数年では、耳鼻科の先生からご紹介いただく症例も非常に増えています。
噛み合わせ由来の耳症状の場合は、歯科領域から治療をしていくことが大切です。そのためには、まずは噛み合わせが悪くなってしまったおおもとの原因をしっかりと診断し、治療しなくてはいけません。ここで、感覚や経験に頼って歯を調整したり、やみくもに矯正をしてしまうと、どんどん悪い方向に進んでしまうことがあります。まずはきちんと、噛み合わせの検査をしたうえで診断をし、それに基づいて治療方針を立てていくことが大切です。