噛み合わせが悪いと出る耳の症状
- 2025年4月21日
- 噛み合わせ,歯周病,噛み合わせが悪いと出る症状,耳症状,顎関節症
噛み合わせが悪いと出る様々な症状「咬合関連症」
噛み合わせが悪いと、様々な症状が出ます。大きく分けると、口腔内に出る症状と、それ以外の全身症状に分類できます。
長坂歯科は、日本全身咬合学会の指導医・認定医が検査・診断・治療を行っていますので、全国から様々な噛み合わせに関するご相談の患者さんがご来院なさいますが、「耳症状」を主訴にいらっしゃる方はとても多いです。また、ここ最近では、耳鼻科の先生から「耳に異常が無いので噛み合わせに問題があるのでは」とご紹介を受けるケースがとても増えています。
噛み合わせが悪いと出る全身の症状を「咬合関連症」と呼びます。この症状の一つに、耳の症状が含まれます。
噛み合わせが悪いと出る症状
●口腔内の症状
・歯周病、歯肉炎:歯がぐらぐらする、歯ぐきが腫れる、歯ぐきから血や膿が出る、口臭、歯が抜ける、歯ぐきが下がる、歯に物が詰まる
・むし歯:歯がしみる、歯が痛い、噛めない、歯が欠ける、詰め物やかぶせものがとれる
・根尖病巣:噛むと痛い、歯ぐきが腫れる、歯ぐきから膿が出る、物が食べられない、ズキズキする、歯が揺れる
・知覚過敏:歯がしみる、歯ぐきがやせる
・歯列不正:歯並びが悪くなる、食べにくくなる
・粘膜の症状:頬を噛む、舌を噛む、粘膜に跡がついている
●全身の症状「咬合関連症」
・耳症状:めまい、耳鳴り、耳詰まり、突発性難聴、メニエール症状、ふらつき
・顎関節症状:口を開けられない、口を開けにくい、顎から音が鳴る、顎が痛い、顎が外れる
・頭痛
・頸椎症状:頭痛、めまい、首こり、肩こり
・手足の症状:腕があげられない、痛い、四十肩五十肩、ひざが痛い、しゃがめない、ふらつく
・腰痛
など
噛み合わせと耳症状の関係
噛み合わせが悪いと、耳の症状が出ることがあります。これは顎関節と耳の位置が物理的に近いということが大きく関係しています。
人間の顎は上顎と下顎に分けられます。上顎は頭蓋骨にくっついています。一方で下顎は下顎骨という頭蓋骨とは切り離された骨でできています。つまり、上顎と下顎はくっ付いておらず、切り離されている状態です。下顎の付け根は頭蓋骨にある顎関節に収まるっています。
噛み合わせが変わる(下顎の位置が変わる)と、下顎の付け根の位置も変動します。下顎の付け根(下顎頭)が変動し、顎関節にめり込んでくると顎関節症を発症します。顎に音が鳴ったり、痛みが出たり、動かしにくくなります。次第に下顎頭は顎関節を圧迫し、この圧力が、顎関節の隣にある耳の穴に影響を及ぼすと、耳の症状が発症してしまいます。
気を付けなくてはいけないことは、下顎頭が顎関節にめり込んだままの顎位で、矯正をしたり、歯の高さを削って調整したりあすると、悪い顎位で高さを合わせてしまう事になり、症状がどんどんと悪化してしまいます。
噛み合わせから耳症状を診ていく
聴力値は、噛み合わせのバランスを客観的に見る一つのデータとして活用できます。治療の前後で聴力値の変化を調べ、比較することで、正しい噛み合わせになっているかどうかが判断できます。噛み合わせは歯並びとは違い、見た目や感覚で診断する事が出来ないため、必ず客観的なデータを用いて診断することが重要です。
最後に重要なことは、耳症状が起きた際は必ず初めに耳鼻科を受診してください。耳はすごく繊細な器官です。耳が悪くなるのには様々な原因があり、必ずしも噛み合わせのみが原因ではありません。耳鼻科を受診し、耳鼻科領域では問題が無かった場合は、一度噛み合わせ領域を疑ってみるのもいいかもしれません。
噛み合わせと耳症状の論文
・長坂 斉、佐藤 亨、高江洲義矩、石川達也:咀嚼習癖に関連する聴力の動態、全身咬合学会誌、6(2)、147-152、2000
・長坂 斉、松久保隆、佐藤 亨、高江洲義矩、石川達也:歯科処置および左右均等噛み指導による聴力の変化と均等化、全身咬合学会誌、8(1)、2002、90~97
・Hitoshi Nagasaka , Takashi Matsukubo , Yoshinori Takaesu , Yoshimasa Kobayasi , Touru Sato 、Tatsuya Ishikawa:Short-Time Improvement and Equalizing of Hearing Ability Controlled by Dental Treatment and Chewing Instruction: A Clinical Report ,The Bretin of Tokyo Dental College
・長坂 斉、松久保隆、高江洲義矩、石川達也、中村昭二,鈴木宏和、星 詳子:下顎運動バランス測定器としてのオージオメータの有効性(1)日本口腔衛星学会(大阪)、2003.9.13-14