噛み合わせが悪いと出る症状:首・肩・背中の症状
- 2025年2月12日
- 噛み合わせ,噛み合わせが悪いと出る症状
噛み合わせ異常からくる脊椎関連の症状
噛み合わせ異常が引き起こす全身症状については、最近では一般的にも浸透してきました。整形外科の先生や整体の先生から、噛み合わせと全身についてのご相談をいただくこともすごく多いですし、患者さんをご紹介頂くケースも年々増加しています。患者さんでも、全身の症状を主訴としてご来院なさる方はとても多いです。
噛み合わせからくる様々な全身症状のうち、今回は脊椎に関連した症状のお話です。
噛み合わせ異常が頭の位置を歪める
噛み合わせに異常が出ると、頭の位置がゆがんできます。
噛み合わせの異常が顎の位置(顎位)に影響を及ぼすからです。虫歯や、抜けたままの歯など悪い歯を放置しておくと、偏った噛み方をしてしまいます。バランスの悪い噛み方をしていると、顎の位置(顎位)もどんとんと偏っていってしまいます。実はこの「顎の位置」のゆがみが、頭の位置(頭位)を歪めてしまうのです。顎位は頭位を決めるうえでとても重要な役割をしています。
大臼歯で噛んだ時の頸椎レントゲン写真 前歯で噛んだ時の頸椎レントゲン写真
顎の位置がゆがむと、頭の位置がゆがむ
人間の頭は大体5kgほどあり、体重の約10%近くを占めています。そんなにも重い頭を、人間は常に一番上に掲げながら生活しています。しかも、脳から生えている脊髄という一本の神経だけで支えているので、とても大変です。そんな重い頭を支えられるように、顎の位
置が一役買っています。
ボクシングの試合などでも、顎をパンチされると立てなくなってしまうように、顎の位置というのは体のバランスを取るうえでとても重要な役割をしています。そんな重要な顎の位置が、噛み合わせの異常でゆがんでしまうと、頭の位置もゆがんでしまいます。頭の位置がゆがむと、脊髄がゆがみ、連鎖的に体の各所に様々な症状が出てしまいます。
脊髄がゆがむことで起きる症状
・神経の症状
・筋肉の症状
・血液循環の症状
これらの症状に伴って手足のしびれや坐骨神経痛、肋間神経痛などをひきおこしていきます。
更にはゆがんだ骨の位置を元に戻そうと、体の各部位で筋肉が異常に緊張します。
ここから
・筋緊張性頭痛
・肩こり、首こり
・腕運動機能低下
・腰痛
・歩行機能障害
等を引き起こす可能性もあります
症例
噛み合わせ治療により運動機能が改善した症例
初診来院時、整形外科の先生から橈骨神経麻痺という診断を受け1か月入院中とのことでした。左手がしびれて全く動かす事が出来ないそうで、下垂の状態でした。患者さんご本人が、噛み合わせも調べてほしいとのことで、一時外出届け出当院を受診なさいました。当院で検査を行ったところ、奥歯での過度な噛み癖が確認されたため、小臼歯部から前歯部を使って咀嚼訓練を行ったところ、その日のうちに腕運動機能が回復しました。
大臼歯(特に右側)の長年の噛み癖により、噛み合わせ異常を引き起こし、顎位がゆがんだことで、頭位が右側に傾き、頸椎・椎間板が圧迫され橈骨の神経伝達障害が起きていたと考えられます。長年噛めていなかった小臼歯~前歯での咀嚼訓練を行ったところ、一時的に頭位が正常化したため、症状が改善したと考えられます。
噛み合わせと脊椎異常の論文
長坂俊幸,矢野秀佳,長坂斉:咬合バランスの改善により突発性難聴をはじめとする全身症状に改善がみられた症例,日本全身咬合学会雑誌24(2),56-61,2018