噛み合わせが悪いと出る症状:めまい
- 2025年5月19日
- 噛み合わせ,噛み合わせが悪いと出る症状,耳症状
当院を受診なさる初診の患者さんのうち、「めまい」の症状を主訴にご来院なさる患者さんは年々増加傾向にあります。症状は様々で、「起き上がろうとするとふらつく」や「ふと顔を上げるとくらっとする」などの軽度のものから、「立っていられないほど回転してしまう」という重度な方までいらっしゃいます。最近では、「噛み合わせ」と「めまい」の関係をよくご理解している耳鼻科の先生も増えていますので、耳鼻科からのご紹介もとても多いです。
「めまい」は基本的には、耳鼻科領域の疾患ですので、まずは耳鼻科を受診することが大切です。耳鼻科の先生がご診断したうえで、耳鼻科領域ではないと判断された場合、歯科を紹介されるというケースが多いです。また患者さんによっては、矯正やインプラントなどの歯科治療を行った直後にめまいが発症してしまったというご相談でいらっしゃるケースも非常に増えています。
めまいの種類
めまいの種類はめまいの国際学会において三種類に分類されています。
・回転性めまい:目がぐるぐると回るようなめまいです
・浮動性めまい:ふわふわしているような浮遊感のあるめまいです
・不安定性めまい:ふらつくタイプのめまいです
噛み合わせが悪い時に起きるめまいは、どのタイプも当てはまることがあります。
またご本人としては、めまい症状の自覚が無くても、噛み合わせ治療の際問診を取ってみると、「いわれてみるとふらつく」などとおっしゃる方も多いです。
噛み合わせとめまいの関係
下顎・咀嚼筋・顎関節は側頭骨を介して、聴覚器官の「耳」とつながっています。顎関節と耳の距離は物理的にすぐ近くです。噛み合わせに異常が出ると、顎運動の異常により、耳に影響が及びます。
例えば、奥歯でばかりの偏った噛み方を長年しているとどうなるか考えていきましょう。長年奥歯でばかり噛んでいると、歯のすり減り方に前後差がでてきます。奥歯ばかりがすり減ってしまい、顎の位置が後方にめり込み始めていきます。顎が後方にめり込み始めると、下顎の付け根が顎関節にめり込んでいきます。そもそも物理的に近い、顎関節と内耳ですが、下顎の付け根がめり込んでくることでどんどん圧迫されていきます。これが耳の症状へと繋がっていきます。突発性難聴や耳鳴り、そしてめまいを発症することがあります。
歯科で見つかることも多いめまい
耳鼻科の先生から噛み合わせの患者さんを紹介されるように、歯科から耳鼻科を紹介するケースもあります。特に耳症状の自覚がなく「噛み合わせの違和感」を主訴にいらっしゃった患者さんも、聴力検査を行ってみたところ、難聴が発覚することがあります。また、問診をしていくうちに、「そういえばふらつき・めまいがある」とおっしゃる患者さんも多いです。
噛み合わせとめまいに関する論文
矢野秀佳,長坂俊幸,長坂斉:聴力をセンサーとした咬合改善を行った結果めまいが改善したと考えられる症例報告,日本全身咬合学会雑誌23(2),55-60,2017
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