噛み合わせが原因で起こる突発性難聴
- 2025年8月4日
- 噛み合わせ,噛み合わせが悪いと出る症状,耳症状
噛み合わせが悪いと、様々な症状が出てしまいます。大きく分けると、口の中の症状と、全身の症状です。口の中に症状が出ると、患者さんは歯科医院を受診なさいますので、そこで噛み合わせの検査等を行い、噛み合わせが原因と分かります。一方で、全身症状が出た際は、歯科医院を受診しません。耳に症状が出れば耳鼻科を受診しますし、体が痛いと整形外科や内科を受診します。噛み合わせ由来の全身症状はなかなか気付かれにくい分野になってしまいます。
今回は、噛み合わせが原因で発症する「耳症状」についてのお話です。
噛み合わせ由来の症状「咬合関連症」
噛み合わせが悪いと、口腔内だけでなく、全身にも症状が出てしまうということは広く浸透してきました。長坂歯科は日本全身咬合学会の指導医・専門医が検査・診断・治療を行っていますので、全国から多くの噛み合わせにお悩みの患者さんがご来院なさいます。全身症状を主訴にご来院なさる方も非常に多いです。噛み合わせが悪いことで発症する症状を「咬合関連症」といいます。
咬合関連症
歯の疾患を放置していたり、偏った噛み方をしていると、噛み合わせが悪くなります。噛み合わせが悪いと顎の位置がずれていってしまい、そこから、口腔内・全身ともに様々な症状を発症します。
噛み合わせ由来の耳症状
咬合関連症の中で、代表的な症状が耳の症状です。耳鳴り、耳詰まり、難聴(突発性難聴や老人性難聴など)、めまい、立ち眩み、メニエール症状など、様々な耳症状を発症することがあります。耳に症状が出た際はまずは耳鼻咽喉科を受診してください。耳鼻科で検査をしても耳に問題がなかった場合は、噛み合わせも一つの原因と疑ってみてください。
噛み合わせが悪いと、顎位がずれてしまいます。顎位がずれると、下顎の付け根は顎関節にめり込んでいき圧迫していきます。
下顎の付け根が顎関節を圧迫すると、顎関節の真横に位置する耳の穴にも圧が加わりますな。長年奥歯で噛む「噛み癖」があったり、歯ぎしりや食いしばりがあると、耳の穴を圧迫してしまい、結果として耳症状が発症してしまいます。
噛み合わせを整えて、耳の症状を治す
噛み合わせ由来の耳症状の場合は、しっかりとした歯科治療を行わないといけません。噛み合わせ治療の原則は、すべての歯でバランスよく噛むことです。そのためには、患者さんご本人が気を付けるべきことと、歯科医院で治療をすることの二点が重要です。
バランスよくためには28本すべての歯が正常な状態でないといけません。患者さんご本人が、全部の歯でバランスよく噛むようにどんなに気を付けても、抜けている歯があったり、かけている歯があったりするとバランスよく噛めません。このような場合は必ず歯科医院を受診し、歯科治療を行ってください。また歯に問題がなくても、偏った噛み癖がある方は、バランスよく噛めるように「噛み方」を変えていくことが大切です。
噛み合わせと聴力に関する論文
長坂 斉、松久保隆、佐藤 亨、高江洲義矩、石川達也: 歯科処置および左右均等噛み指導による聴力の変化と均等化
長坂 斉:咬合が関連すると思われる難聴の診断および咬合改善処置-気導および骨伝導聴力について-、日本歯科保存学会誌、第116回学会プログラム抄長坂 斉、松久保隆、佐藤 亨、高江洲義矩、石川達也:偏位咀嚼習癖者の聴力動態に関する統計的検討、第10回日本全身咬合学会、2000、11、25