どうして噛み合わせが原因で耳が悪くなるの??
- 2025年7月23日
- 噛み合わせ,噛み合わせが悪いと出る症状,耳症状
噛み合わせが悪いと、全身な様々な症状を引き起こしてしまうことがあります。その代表的な症状の一つに「耳症状」があります。噛み合わせが悪いことで耳に症状が出てしまうことは、ここ最近広く一般的にも知られていますので、耳症状を主訴に党員を受診なさる患者さんは非常に多いです。その中でも特に、耳詰まり・耳鳴り・難聴(突発性難聴や老人性難聴)・めまいなどの症状が非常に多いです。
今回は、噛み合わせが悪いことで発症してしまう耳の症状についてのお話です。
嚙み合わせが悪いとどんな症状が出る?
噛み合わせ由来の症状のことを、「咬合関連症」といいます。噛み合わせに関係する症状。そのままの呼び方ですね。この咬合関連症には大きく分けると2つ症状があります。「口腔内症状」と「全身症状」です。耳症状は、全身症状に含まれますね。
●口腔内症状
歯周病:歯がぐらぐらする、歯に物が挟まる、歯がしみる、うまく噛めない、噛むと痛い、歯ぐきから膿が出る、口臭
歯肉炎:歯ぐきが腫れる、歯ぐきから出血する など
虫歯:歯がしみる、歯がずきずきする、歯が欠ける、歯に穴があいた
根尖病巣:痛くて噛めない、噛むと歯が響く、うまく噛めない、歯ぐきが腫れる
歯ぎしり・食いしばり
など
●全身症状
顎関節症:顎から音が鳴る、顎が痛い、口が開きにくい、顎が外れる
耳症状:耳鳴り・耳詰まり・めまい・たちくらみ・メニエール病・難聴(突発性難聴/老人性難聴)
頸椎症状:ストレートネック・首こり・肩こり
頭痛
腕症状:肘が痛い、多がしびれる、握力がなくなる、四十肩・五十肩
腰痛・背中の痛み
ひざの痛み:歩けない、足がしびれる
など
口腔内症状が出た際は、皆さん歯科医院を受診しますので、そこから噛み合わせの問題かどうか診断できます。一方で全身症状は厄介です。全身症状が発症して、歯科医院を受診することってなかなかないですよね。耳に問題が出た際は耳鼻科を受診しますし、肩こりや腰痛だったら整形外科やマッサージを受診します。全身症状に関しては、噛み合わせと関連していても、なかなか気づきにくいというのが大きな問題点です。また、もう一つの問題点として、噛み合わせが悪いという理由だけで、全身症状が発症するわけではありません。耳症状の場合は、耳自体の問題や、生活習慣、疲れ、ストレスなど様々な原因が複雑に絡み合って症状が発症することがほとんどです。噛み合わせは、その原因の一つに過ぎないため、噛み合わせを解決すればすべてが解決するわけではありません。ですので、耳に症状が出た際は、必ず初めに耳鼻科を受診なさってください。そこで、原因がわからなかったり、改善しない際は、ほかの原因の一つとして「噛み合わせ」を疑ってみてください。
実際、当院に耳症状で通われる患者さんの多くが、耳鼻科も並行して受診なさっています。ここ数年では、噛み合わせと耳症状についての認識もだいぶ浸透し、今では耳鼻科の先生から「耳鼻科的に問題がないので、噛み合わせを調べてください」とご紹介をいただく症例も非常に多いです。
嚙み合わせが悪いと耳に症状が出るメカニズム
噛み合わせが悪くて、耳に症状が出てしまう原因は、耳と顎の物理的な位置関係の近いということです。顎の付け根の「顎関節」は耳の穴のすぐ隣に位置しています。噛み合わせが悪いと、顎関節に異常な負担が加わることになります。顎関節にかかる負担はダイレクトに隣の耳にも加わります。耳に過度な負担がかかってしまうことで、耳鳴り・耳詰まり・難聴・めまいなどの耳症状が発症してしまいます。
特に、奥歯で噛む「噛み癖」がある方は要注意です。奥歯でばかり噛む癖があると、顎は少しずつ後上方にめり込んでいきます。慢性的に顎関節がめり込んでいる状態になってしまいます。下顎の付け根が顎関節にめり込み、耳の穴を圧迫することで耳症状が出てしまいます。
噛み合わせから耳症状を治す
噛み合わせによって発症している耳症状を治すには、正しい噛み方をして、顎関節への負担を軽減させることが大切です。まずは、ご自身の噛み方を、しっかりと認識し、バランスの良い噛み方をしましょう。バランスよく噛めていない原因として、悪い歯があったり、抜けた歯があったりした場合はしっかりと治療をしましょう。ご自身の噛み癖は、噛み合わせの専門の病院で、きちんと診断をしてもらう必要があります。
嚙み合わせと耳症状の文献
長坂俊幸,矢野秀佳,長坂 斉:咬合バランスの改善により突発性難聴をはじめとする全身症状に改善がみられた症例, 日本全身咬合学会雑誌24(2),56~61,2018
長坂俊幸,長坂 斉:聴力を指標にした歯科治療により耳症状を含む全身症状に改善のみられた症例, 日本全身咬合学会雑誌26(2),48~53,2020