【症例】親知らず抜歯後発症した耳の症状が、噛み合わせの治療により改善した症例|長坂歯科|田町・三田の歯医者・歯科|噛み合わせ治療・お口の検診

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【症例】親知らず抜歯後発症した耳の症状が、噛み合わせの治療により改善した症例|長坂歯科|田町・三田の歯医者・歯科|噛み合わせ治療・お口の検診

【症例】親知らず抜歯後発症した耳の症状が、噛み合わせの治療により改善した症例

今回の症例は、善意での歯科治療後に耳鳴り・耳詰まり・めまい・難聴をはじめとする耳の症状が発症してしまった症例です。

 

主訴:3年ほど前から、耳鳴り・難聴などの耳症状が発症しています。親知らずを抜いた後から出た症状なので、歯が関係しているのではと思い来院しました。ほかにも、頭痛・首こり・肩こりなどの全身症状があります。

 

既往歴:3年前、かかりつけ医にて右上下親知らずを抜歯。それまでも噛み合わせには違和感があったが、抜歯後から違和感が悪化。さらに耳鳴り・難聴等の耳症状が発症。耳鼻科で検査をするが特に異常はないといわれる。

 

症状:

口腔内症状 プラークコントロールは良好で、口腔内の状況は非常にきれいですが、左右ともに、奥歯に行くと歯周ポケットが深く、左右大臼歯では4~5mmの歯周ポケットが見られました。右上の第二大臼歯が欠損し、そのまま放置されている状況でした。右上の中切歯を、以前神経を取ったようで、噛むと痛みがあり、裂けて咀嚼しているそうです。

全身症状 一番の不調は耳の症状です。親知らずを抜いてから、耳鳴り・難聴・耳詰まり・めまいなどの耳症状が発症してしまいました。かかりつけ医では特に関係はないといわれたそうですが、耳鼻科を受診したところ、耳には問題がなく、歯科治療後に発症したということもあり、噛み合わせが関係しているのではないかといわれたそうです。顎関節にも不調があり、以前より違和感はあったそうですが、痛みはないため放置していたそうです。また首こりと肩こりがひどく、頭痛を伴うこともあるそうです。

初診時の聴力結果

 

 当院で聴力検査をしたところ、聴力には左右差が見られました、特に左の低音が著しく低下をしていました。

口腔内検査・全身検査の結果を踏まえると、左右ともに左の大臼歯での著しい咀嚼習癖があると診断がつきました。左奥での咀嚼習癖の原因は様々考えられます。まずは、右上の小臼歯の欠損、そして右上の前歯の痛みです。これらの要因から、長い年月をかけて左側で噛む「噛み癖」がついてしまったと考えられます。それに加えて右上下の親知らずを抜歯したことにより、一定期間右側での咀嚼ができなくなり、さらに左の奥上が助長されてしまったと考えられます。

 左の奥歯での偏った噛み癖が続くと、奥歯のすり減りが著しくなり、下顎の付け根が顎関節にめり込むようになります。下顎の付け根が顎関節にめり込むと、物理的に耳の穴を圧迫していくため、耳鳴り・耳詰まり・難聴・めまいなどの耳症状が発症してしまいます。

 

治療

 まずは、左奥歯での過度な咀嚼習癖を減らす必要があります。そこで、噛み方の練習を行いました。すべての歯でバランスよく噛めるように、噛み方・顎の動かし方をかえていきます。ですがここで問題なのが、噛むと痛い歯・抜けていてそもそも噛めない歯があることです。そこで、欠損歯は補綴治療を行い、また噛むと痛い歯は再度根管治療を行い、すべての歯でバランスよく噛める環境を作っていきます。口腔内は一般的な歯科治療を行いながら、咀嚼習癖の改善を目指しました。

 

治療後の変化

 噛む練習と、歯科治療を並行して行ったとこ、耳症状が大きく改善しました。左の低音領域が改善し、左右バランスよく聞こえている状況になりました。耳鳴りは少し残っていますが依然と比較し、24時間持続的なものはなくなりました。めまいも改善しました。

 口腔内の症状は、歯周病の改善が認められました。左右ともに大臼歯部の歯周ポケットが治療前は4~5mmだったものが、治療後は3mmまで改善しました。全身症状も、耳意外に大きく改善が見られ、頭痛・首こり・肩こりなどの症状が改善しました。

 

今回は、欠損部・痛いところを放置していたため、長年偏った噛み癖が出ていた症例でした。咀嚼習癖をそのままに、歯科治療を進めると、ゆがんだ顎の位置に合わせて治療をすることになってしまいます。。必ず、バランスのいい噛み方を練習しながら、歯科治療を行うことが大切です。そのためには、口腔内症状だけでなく、聴力などの全身症状を指標としながら歯科治療を進めていくことが大切です。