「歯ぎしり・食いしばり」と「耳鳴り・難聴」
- 2026年3月9日
- 噛み合わせ,噛み合わせが悪いと出る症状,耳症状
噛み合わせが悪いと様々な全身症状が出てしまいます。噛み合わせ由来の症状を総称して「咬合関連症」と呼びます。咬合関連症の中には、口腔内症状と全身症状があり、全身症状の中に耳の症状が含まれます。耳鳴り・難聴・耳のつまり・めまい・メニエール症状など、様々な耳症状が、噛み合わせが悪いことで発症することがあります。一見すると、「耳と歯」なのであまり関係なさそうですが、この二つには非常に密接な相関関係があります。以前は、歯の問題で耳に症状が出ることはないと、一蹴されていたこともあるようですが、最近では、「噛み合わせ治療の研究」が進歩し、「耳と歯」の関係は歯科だけでなく、医科や一般の方にまで広く認識されるようになりました。
長坂歯科は、日本全身咬合学会の指導医・専門医が治療を行う、噛み合わせの専門医です。日本全国から多くの「噛み合わせに関する相談」の患者さんがご来院されます。ここ数年では、耳症状にご来院な去る方が非常に多く、世間一般でも「歯が悪いと耳に影響が出る」という認識が浸透していると実感します。また、耳鼻科の先生や、内科、整形外科、整体、マッサージの先生方からもご紹介されることが非常に増えています。
耳症状を主訴に当院を受診される患者さんには、いくつかパターンがあります。
①長年歯科医院を受診していなかった、治療途中や抜けたまま、痛いけどそのままにしている歯がある
②かかりつけの歯科医院で歯科治療をしたら耳症状が発症した。インプラントや矯正、審美歯科の術後に発症してしまった
③歯ぎしり食いしばりがひどい
代表的なのはこの3パターンです。今回は3つめの「歯ぎしりと・食いしばり」由来の耳症状についてまとめていきます
歯ぎしり・食いしばりとは
まず、歯ぎしり・食いしばりと聞くと、それだけで悪いもののように扱われてしまうことがありますが、歯ぎしり・食いしばり自体は誰しもが行っている生理現象です。それ自体が悪いわけではありません。歯ぎしり・食いしばりで問題視されるのが、バランスよく力を分散できていないことです。
歯には、食事中や会話中に、咬合力という「噛む力」が加わります。咬合力は、食事中や会話中だけでなく、お仕事中や睡眠時など、無意識の間にも「歯ぎしり・食いしばり」として加わっています。この咬合力が非常に強く、最大で自分の体重の1.5倍近い力が加わることがあります。この力を分散できるように、歯はたくさん生えています。親知らずを含めなくても28本あります。本来は、この28本で、咬合力を分散しています。ですが、悪い歯がそのまま放置されていたり、歪んだ位置で歯科治療をされてしまうと、バランスよく咬合力を受け止めることができなくなってしまい、特定の歯に、異常な咬合力がかかる状態になります。その歯は、ほかの歯に比べて著しく摩耗するため、噛み合わせの平面が、傾いていき、噛み合わせ・顎の位置が悪くなります。

奥歯での噛み癖がある方は要注意
日本人は、ほとんどが奥歯で物を食べる「噛み癖」があります。これは食文化上ある程度しょうがないところがあります。日本人は食文化上、右手でお箸を持ちお米を咀嚼しますので、左の奥歯で噛む癖が長年ついています。全体でみると、左の奥歯での咬耗が進むため、顎の位置がゆがんでいき、噛み合わせが悪くなります。

奥歯での噛み癖が進んでいくと、下顎が後上方へ少しずつずれていき、顎の付け根が顎関節にめり込んでいきます。この状態を顎関節症といい、顎から音が鳴ったり、痛みが出たり、口を開けると引っかかったりします。
顎関節症になると、耳症状が併発することがあります。耳は顎関節との物理的な距離が非常に近く、顎関節の影響を受けやすい器官です。顎の付け根が顎関節にめり込んでいくと、内側から聴覚器官を圧迫し、耳鳴り・耳詰まり・難聴・めまいといった耳の症状が発症していきます。
バランスをよく噛むことが大切
この症状を治すには、奥歯に過度な力をかけないことが大切です。すべての歯を使い、バランスよく噛み、噛み合わせ・顎の位置を良くしないといけません。抜けている歯があったり、虫歯を放置している場合はきちんと歯科治療をして、すべての歯で噛めるような環境に治療していくことが大切です。