「噛み合わせの治療」により突発性難聴が改善した症例|長坂歯科|田町・三田の歯医者・歯科|噛み合わせ治療・お口の検診

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「噛み合わせの治療」により突発性難聴が改善した症例|長坂歯科|田町・三田の歯医者・歯科|噛み合わせ治療・お口の検診

「噛み合わせの治療」により突発性難聴が改善した症例

噛み合わせ治療の症例集

症例.矯正治療後に発症した突発性難聴が、噛み合わせの治療により改善した症例

主訴

 20代女性。初診時の主訴は「矯正治療後に突発性難聴が発症してしまった」とのことでした。2020年から前医にて歯列矯正を行っていたそうですが、治療の途中で顎関節症が発症してしまい、矯正治療後に左耳の低音性突発性難聴が発症したそうです。別の病院でマウスピース治療を行ったところ顎関節症状が悪化し、めまい症状も発症してしまったとのことです。

初診時の聴力と口腔内状況

 初診時、当院で聴力測定を行ったところ、左の聴力が全体的に低下している状況でした。耳鼻科では「突発性難聴」「メニエール病」「低音感音性難聴」と診断をされ、特に治療法はないといわれてしまったそうです。ご本人も耳鼻科の先生も、矯正治療後に突然症状が出たため、原因は噛み合わせにあるのではないかと考えたそうです。口腔内を拝見したところ、矯正治療は終了しているそうですが大臼歯でしかかみ合っていない状況で、前歯は開咬していました。また小臼歯には虫歯がありました。全顎的に歯周病が進行し、特に大臼歯部では垂直的に歯槽骨が吸収していました。大臼歯部(奥歯)だけ、著しく骨が吸収し歯周病が進行しているということは、その部位に過度な噛み合わせの負担がかかっているということがわかります。今回の症例では、長年の患者さんの噛み癖で奥歯に力がかかりやすかったところに、噛み合わせを考慮せずに歯列矯正を行ったことでより奥歯に力がかかる状況になってしまい、結果噛み合わせによる不調が出てしまっていると考えられます。

 

まずは噛み方の改善から・・・

 矯正治療後から、患者さんのご自覚的にも奥歯でしか噛む事が出来なくなってしまったそうです。まずは前歯も含め全体的に噛むように噛み方の指導を行っていきました。噛み合わせの治療の際、はじめからむやみやたらに高さを調整したりすると、目標が分からなくなり悪化してしまうということが多々あります。噛み合わせに問題が出る一番の原因は、患者さん自身の顎の動かし方にあります。どんない口腔内を良くしても、顎の動かし方に問題があれば改善しません。その為にも、不可逆的な治療を行う前に、まずは正しい後の動かし方・正しい噛み方を覚えていくことが大切です。今回の症例では、前歯で噛む練習を行ったところ、その日のうちに顎関節症状(顎の痛み・顎の音)が改善しました。

噛み合わせを考慮しながらの補綴治療

 虫歯の状態をそのままにしておくと、噛み合わせのバランスが悪化してしまいます。また、古く劣化した修復物があると、その部位では噛む事が出来ず、噛み合わせが悪くなってしまいます。虫歯治療・補綴治療を順次行っていきました。単に被せものにするというわけではなく、噛み合わせのバランスと順番を考慮しながら補綴治療を行っていきます。また、神経の生きている歯はしっかりと神経を保存して治療を進めていきました。

補綴療後、難聴の症状が改善

 補綴物を治療し、並行して全体でバランスよく噛むよう「噛み方」の意識を変えていったところ、難聴の症状が改善しました。特に今回の症例では「前歯を使って噛む」という噛み方を今まで意識したことが無かったそうなので、前歯で噛む練習を行いました。練習を続けることで前歯で自然と噛めるようになっていき、顎の痛み、口の開け辛さなどの顎関節症状もすべて改善しました。

顎の位置を考慮した噛み合わせ治療が大切

 今回の症例では、審美面だけを考慮した矯正治療により、顎関節症状が発症してしまい、さらに耳症状を含む全身症状にまで影響が出てしまった状況でした。矯正治療は、歯の位置を動かすというとても専門的で高度な治療です。噛み合わせの知識が十分にない状況で治療を進めていくと、治療途中や治療後に様々な症状が出てしまう事があります。もちろん、専門知識の豊富な病院で矯正治療をしていただければ問題はありません。ですが、ここ数年、審美だけに特化した矯正治療を行ったことにより、噛み合わせ不調をきたし、耳症状・全身症状・顎関節症状・歯周病症状を発症してしまう患者さんが増加傾向にあります。当院を受診なさる患者さんのご相談内容の半数以上を占めています。大がかりな治療をする際は是非一度「かみ合わせ」のことを考えて治療に臨んでください。