食いしばり・歯ぎしりと難聴の関係について
- 2024年11月22日
- 噛み合わせ,頭痛・肩こり,噛み合わせが悪いと出る症状,耳症状,顎関節症,歯ぎしり・食いしばり
皆さんは食いしばり・歯ぎしりをしているご自覚はありますか?無意識の時にしてしまう癖ですから、なかなか自分では気づけませんよね。人に指摘されたり、歯科医院を受診して指摘される方が多いのではないでしょうか。食いしばりや歯ぎしりは人間ならばだれしも行っていることなのでそれ自体が悪いわけではないのですが、度を越えて異常なほど食いしばったり、偏った噛み方で食いしばると、様々な症状を引き起こしてしまいます。
その症状の一つに、耳の症状があります。
耳鳴り・難聴・耳詰まり・めまい・立ちくらみ
食いしばりや歯ぎしりによってこれらの耳症状を引き起こしてしまう危険性があります。
顎と耳の関係
顎関節と耳の穴は、すぐ隣に位置します。物理的に距離が近いため、お互いに様々な影響が出やすいのです。例えば、耳の穴に人差し指を入れて、口を開いたり閉じたり動かしてみてください。指先で顎の動きが感じ取れるはずです。このように顎の動きは耳に影響を与えます。正しい噛み合わせで、正しい位置で顎を動かせていれば、問題はないのですが、噛み合わせが悪く、顎の動かし方に異常があると、耳には悪い影響を及ぼしてしまいます。
歯ぎしりや食いしばりの状況にも種類があります。日本人に圧倒的に多いのは奥歯で食いしばってしまう状況です。奥歯での過度な食いしばりにより、下顎の付け根は顎関節にめり込んでいきます。顎関節が過度に圧迫されていくと、耳にも同様な圧が加わることで、耳症状が発症してしまいます。歯ぎしり・食いしばりにより耳症状が起きてしまうのはこのような関係があるからです。
奥歯で食いしばる方は要注意!!
日本人は、右利きの方が多く、お箸を持ちお米を食べる食文化ですので、左の奥歯で噛む噛み癖の方が多いです。左の奥歯で噛む習慣がつくと、無意識でも同じ部位で食いしばったり、歯ぎしりをしてしまうようになります。長年、奥歯で偏った噛み方を続けていると他の歯と比べ奥歯のすり減りが著しくなり、奥歯にめり込むような形で顎の位置が変化していきます。
奥歯での食いしばり、はぎしりが強い方は、耳症状を併発してしま可能性が高いです。
噛み合わせを良くすることで、耳症状が改善
奥歯での偏った噛み癖がある方は全体でバランスよく噛むように、噛み方を意識していきましょう。また偏った噛み方の原因として、悪い歯がある場合はしっかりと歯科治療をし、全体でバランスよく噛めるような口腔内環境にしていきましょう。
下記の聴力図の患者さんは、バランスの良い噛み方を練習したところ、お悩みだった耳症状に改善が見られた症例です。
このように、噛み合わせを良くすることで耳の症状が改善することがありますので、思い当たる方は是非一度歯科医院を受診し、専門医のもとで噛み合わせを調べてみてください。
食いしばりと難聴に関する論文
長坂 斉、松久保隆、佐藤 亨、高江洲義矩、石川達也:歯科処置および左右均等噛み指導による聴力の変化と均等化、全身咬合学会誌、8(1)、2002、90~97、
長坂 斉、松久保隆、中村昭二、石川達也、星詳子;聴力オージオメーターにて検証するオクルーザルパワーゾーン、全身咬合学会誌、8(2)、2002、173~186、
長坂俊幸,長坂斉:聴力を指標にした歯科治療により耳症状を含む全身症状に改善のみられた症例,日本全身咬合学会雑誌26(2),48-53,2020