かみ合わせ治療の症例集:「顎関節症の改善」
- 2024年6月29日
- かみ合わせ,かみ合わせが悪いと出る症状,耳症状,顎関節症,症例集
かみ合わせ治療の症例集
症例.顎関節症が改善した症例
30代女性。初診時の主訴は「突然口が開けられなくなった」ということでした。20代から歯列矯正をし、治療が終了した直後、口が開かなくなってしまったそうです。当院に初めて受診なさった際は、指が縦に2本入るのがやっとな程しか開口できない状態でした。歯列矯正以前から、顎がかくかくなったり、年に数回顎関節に痛みが出たこともあったそうですがすぐに落ち着くため気に留めていなかったそうです。その後、歯並びを審美的に治すため、矯正歯科に相談した際、顎関節も歯並びのゆがみから症状が来ていると説明されたそうですが、治療中も症状は変わらず、治療後に悪化してしまったとのことでした。ご友人が当院に通院中とのこともあり、セカンドオピニオンでご来院なさいました。
初診時の全身症状
初診時、顎関節症状以外も様々な症状が認められました。首・肩こり、側頭部の激しい頭痛、耳鳴り、耳がトンネルに入った時のように詰まっているといった症状でした。そこで当院で聴力検査を行ってみました。
当院で聴力測定を行ったところ、左右ともに低音領域で聴力が低下している状況でした。口腔内を拝見したところ、歯列は綺麗に並んでいました。大臼歯(奥歯)の歯茎が全体的に炎症で腫れていました。歯周ポケットを検査すると、全体的には1~2mm程度で問題が無かったのですが、大臼歯付近では5mm程度、垂直的に歯槽骨が吸収していました。また、食いしばりが強い方に特徴的に見られる「骨隆起・口蓋隆起」が認められました。長坂歯科で初診時に行った様々な検査から、こちらの患者さんは、矯正治療以前から大臼歯(奥歯)で噛む癖「咀嚼習癖」が強いということが診断できました。
バランスよく噛むように
ご自身でも、昔から「奥歯を使って一生懸命噛む事が大切」という意識があったそうで、食事の際などは意識的に奥歯で20回ずつ咀嚼をしていたそうです。確かに、噛む事は大切なことなのですが、「正しく噛む」ことが最も重要です。間違った噛み方を続けていては体に不調をきたしてしまいます。
幸い、今回の症例では、欠損歯や未処置歯などは無かったので、噛み方の意識を変えていくことを一番の目的とし、治療を行いました。
噛み方を治して1か月すると症状が改善
検査によって大臼歯部位での過度な咀嚼習癖が確認されたため、前歯も含め全体でバランスよく噛む様に、噛み方を意識的に変えるトレーニングを行いました。前で噛むトレーニングを行ったところ、数日で顎の症状は改善しました。もともと二横指しか開かなかった口も、四横指開くようになり、顎関節の痛みもなくなりました。顎関節症状がなくなった後も、前歯で噛むトレーニングを続け、1か月後に再度受診していただくことになりました。その間も顎関節症状はぶり返すこともなく、また聴力を測定したところ改善が認められました。
奥歯に過度な力がかからないように治療
今回の症例では、長年の噛み癖により、奥歯だけに過度な負担がかかってしまい、顎位に異常をきたしています。さらに、その位置で審美性だけを優先し歯列矯正をしたことで、顎関節に過度な負担が加わり、急性の顎関節症状がでてしまいました。このように、歯科治療を行った後に顎関節・耳症状・全身症状が発症してしまうというケースのご相談は年々増加傾向にあります。長坂歯科へも、耳鼻科や矯正・インプラント科の先生からのご紹介・ご相談がとても増えています。歯科治療で歯を触る際は是非一度、かみ合わせという根本の部分も調べてください。