噛み合わせと突発性難聴
- 2023年11月20日
- 噛み合わせ,噛み合わせが悪いと出る症状,耳症状,顎関節症
噛み合わせと耳の症状
噛み合わせが悪いと耳に症状が出ることがあります
噛み合わせが悪いことが原因で、耳症状が起きてしまうことがあります。ある日突然、耳が聞こえなくなり、耳鼻科を受診しても原因が分からず「突発性難聴」と病名を付けられることがあります。噛み合わせ由来の全身症状(咬合関連症)のなかに耳症状が含まれています。耳鼻科では原因が分からないといわれた難聴・耳鳴り・めまいなどの症状は、噛み合わせの原因も疑ってみてください。
噛み合わせ由来の耳症状
難聴
耳鳴り
めまい など
また、噛み合わせが原因とされている耳の症状には以下のような症状もよく見られます
●食事中や、食後に耳鳴りが増える
●朝起きた時、顎の疲れと一緒に耳症状が増える
●仕事中など集中している時に食いしばり、耳症状も一緒に起こる
●顎を動かしたり、口を開けると、耳の中でじゃりじゃりと音が鳴る
●あくびなどで口を大きく開けると耳鳴りの感じが変わる など
なぜ噛み合わせ異常が聴力に影響するの??
人間がものを食べたり、話したり、食いしばる時、「下顎」が動いています。下顎は頭蓋骨と「顎関節」を介してつながっています。この顎関節のすぐ真横に存在するのが耳の穴です。顎関節と耳の穴は解剖学的にものすごく近い距離にいます。噛み合わせに異常が出た際、下顎が異常な動きをします。下顎が異常な動きをすると、当然顎関節も連動して異常な動きをします。顎関節が異常な動きをすることで、「顎関節症」が発症し、耳にも過度な負担が加わり、耳症状が発症してしまいます。
噛み合わせ由来の耳症状を防止するには??
偏った噛み方には注意しましょう!!
噛むときに「奥歯でばっかり」「左右どちらかでばっかり」噛む癖がある方は要注意です。バランスよく噛めていないと、噛み合わせに異常をきたします。偏った噛み方を長年続けていると、歯が偏ったすり減り方をしてしまいます。偏った歯のすり減りは顎の位置をずらしてしまい、顎関節に異常に負担をもたらします。ここから耳の異常が発症してしまいます。
年々増加傾向にある噛み合わせ由来の耳症状
臨床において、噛み合わせ由来の耳症状を主訴にご来院なさる患者さんは年々増加傾向にあります。耳鼻科の先生から「噛み合わせが原因の疑いがあるので検査をしてください」とご依頼されるケースはとても増えています。噛み合わせと全身症状、それに伴う耳症状に関しての知識がだいぶ浸透し、一般的になってきているからだと考えられます。他院の歯医者さんからも、治療に伴う耳症状や全身症状の変化を相談されることが増えてきていますし、そういった症状の患者さんを紹介されるケースは増加傾向にあります。
まずは必ず耳鼻科の受診を!
噛み合わせと聴力の関係が広く知られることになり、聴力の症状は何でもかんでも噛み合わせ異常と結び付けられてしまう症例もちらほらと見受けられます。しかし、まずは必ず耳鼻科を受診してください。耳の症状ですので、必ず専門医の先生に診ていただくことが大切です。特に突発性難聴は発症してから処置するまでのスピードがとても大切ですので早めに耳鼻科を受診なさってください。耳鼻科で調べていただき、治療をした後でなお症状があるようでしたら原因の一つとして「噛み合わせ」を疑ってみるとよいでしょう。
噛み合わせと耳症状に関する論文
長坂 斉、佐藤 亨、高江洲義矩、石川達也:咀嚼習癖に関連する聴力の動態、全身咬合学会誌、6(2)、147-152、2000
松久保隆、長坂 斉、中村昭二、小林義昌、高江洲義矩、石川達也、佐藤亨:咬合関連性聴力低下5分類症例の聴力閾値の特徴–臨床統計的解析―口腔衛生学会誌53(4)、467,2003、第52回日本口腔衛生学会総会、北九州市
長坂 斉:歯科処置によって変動する聴力値とオージオグラムの変化パターン、全身咬合学会誌、8(1)、2002、82~90