噛み合わせが引き起こす突発性難聴!
- 2024年5月30日
- 耳症状
噛み合わせと突発性難聴の関係
噛み合わせが悪いことで突発性難聴が発症することがあります
噛み合わせが悪いことで、耳に症状がでてしまうことがあります。ある日突然、耳が聞こえなくなり、耳鼻科を受診しても原因が分からず「突発性難聴」と病名を付けられることがあります。また、突発性難聴以外にも、耳鳴りや耳詰まり、めまい等が発症することがあります。噛み合わせ由来の全身症状(咬合関連症)のなかに耳症状が含まれています。耳鼻科では原因が分からないといわれた難聴・耳鳴り・めまいなどの症状は、一度噛み合わせの原因も疑ってみてください。
噛み合わせ由来の耳症状
難聴・耳鳴り・めまい など
噛み合わせが原因とされている耳の症状には以下のような症状もよく見られます
●ご飯を食べたり、何か噛むと耳鳴りが増える
●朝起きた時、顎の疲れと一緒に耳症状が増える
●仕事中など集中している時に食いしばり、耳症状も一緒に起こる
●顎を動かしたり、口を開けると、耳の中でじゃりじゃりと音が鳴る
●あくびなどで口を大きく開けると耳鳴りの感じが変わる など
なぜ噛み合わせが悪いと「突発性難聴に」???
人間がものを食べたり、話したり、歯ぎしりや食いしばりをする時、「下顎」が動いています。下顎は頭蓋骨と切り離された別の骨です。「顎関節」を介してつながっています。この顎関節のすぐ真横に耳の穴が存在しています。顎関節と耳の穴は解剖学的に近接しています。噛み合わせに異常がでると、下顎が異常な動きをします。下顎が異常な動きをすると、当然顎関節も連動して異常な動きをします。顎関節が異常な動きをすることで、「顎関節症」が発症し、耳にも過度な負担が加わり、耳症状が発症してしまいます。顎関節と聴覚器官の物理的な位置関係がポイントになってきます。
噛み合わせ由来の耳症状を治すには??
偏った噛み方には注意!!
ご飯を食べる際「奥歯でばっかり」「左右どちらかでばっかり」噛む癖がある方は要注意です。バランスよく噛めていないと、噛み合わせに異常をきたします。偏った噛み方を長年続けていると、歯が偏ったすり減り方をしてしまいます。偏った歯のすり減りは顎の位置をずらしてしまい、顎関節に異常に負担をもたらします。ここから耳の異常が発症してしまいます。
症例:抜けた歯を放置していたら、突発性難聴に
この症例の方は「突然耳が聞こえなくなった」という主訴でご来院なさいました。耳鼻科に相談したところ、耳には異常はないということで、耳鼻科の先生から「噛み合わせに問題があるのではないか?」と長坂歯科を紹介されて来院なさいました。当院で拝見したところ、左右とも低音の聴力が難聴でした。口腔内を拝見すると、長年左下の抜けた歯をそのままに放置しており、噛み合わせに異常が出ていました。抜けた歯に補綴治療を行い、全体でバランスよく噛めるようにしたところ、聴力に改善が見られました。耳鼻科の先生からも「突発性難聴は完全に治りました」と診断を受けたそうです。
噛み合わせ由来の突発性難聴は、近年増加傾向に!
臨床において、噛み合わせ由来の耳症状を主訴にご来院なさる患者さんは年々増えています。耳鼻科の先生から「噛み合わせが原因の疑いがあるので検査をしてください」とご依頼される症例もとても増えています。噛み合わせと全身症状、それに伴う耳症状に関しての知識がだいぶ浸透し、一般的になってきているからだと考えられます。他院の歯医者さんからも、治療に伴う耳症状や全身症状の変化を相談されることが増えてきていますし、そういった症状の患者さんを紹介されるケースは増加傾向にあります。
まずは必ず耳鼻科の受診を!
噛み合わせと聴力の関係が広く知られることになり、聴力の症状は何でもかんでも噛み合わせ異常と結び付けられてしまう症例もちらほらと見受けられます。しかし、まずは必ず耳鼻科を受診してください。耳の症状ですので、必ず専門医の先生に診ていただくことが大切です。特に突発性難聴は発症してから処置するまでのスピードがとても大切ですので早めに耳鼻科を受診なさってください。耳鼻科で調べていただき、治療をした後でなお症状があるようでしたら原因の一つとして「噛み合わせ」を疑ってみるとよいでしょう。ここ数年は耳鼻科の先生からの紹介やご依頼がとても多く、耳鼻科の観点と歯科の観点両方から治療を行う機会も多くなっています。
噛み合わせと耳症状に関する論文
長坂 斉、佐藤 亨、高江洲義矩、石川達也:咀嚼習癖に関連する聴力の動態、全身咬合学会誌、6(2)、147-152、2000
松久保隆、長坂 斉、中村昭二、小林義昌、高江洲義矩、石川達也、佐藤亨:咬合関連性聴力低下5分類症例の聴力閾値の特徴–臨床統計的解析―口腔衛生学会誌53(4)、467,2003、第52回日本口腔衛生学会総会、北九州市
長坂 斉:歯科処置によって変動する聴力値とオージオグラムの変化パターン、全身咬合学会誌、8(1)、2002、82~90