顎関節症を知ろう
- 2025年2月25日
- 噛み合わせ,噛み合わせが悪いと出る症状,顎関節症
皆さんは「顎関節症」をご存じでしょうか。顎が痛くなったり、口が開きにくくなったりする症状のことを言います。一度痛みが出ると数日続いてしまったり、症状は落ち着いても何度も繰り返してしまったりと、割と厄介な病気です。患者さんにとって顎関節症は辛い病気ですので、初診でご相談にいらっしゃる方はとても困っています。口が開かないと、しゃべれない、食べられないと、日常生活に支障をきたしてしまいます。
顎関節症は歯医者さんでも苦手意識を持っている先生が多く、他院の歯医者さんからご相談やご質問を受ける大半は「顎関節症」と「噛み合わせ」です。また、噛み合わせの専門知識のない先生がむやみやたらにマウスピースを作ったり、運動療法をやってみたり、噛み合わせを調整したり、ひどい場合はボトックスなどに手を出し、どんどん迷宮入りをしてしまうケースがあります。ここ数年で、そういったご相談は非常に増えています。患者さんは症状が悪化してしまい、どうしたらいいかわからなくなってしまい、ご相談にいらっしゃいます。まずは、歯科医師も患者さんも顎関節症を十分理解し、その原因を診断したうえで治療を行うことが大切です。
顎関節症のメカニズム
顎関節症の一番の原因は顎の動かし方、要は噛み方にあります。生活習慣とひとくくりで呼ばれることもありますが、専門医では総称して「噛み合わせの問題」といいます。噛み合わせの問題と聞くと、歯を削って整えればいいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、その治療方法が一番危険です。そもそも噛み合わせとは歯と歯の接触の関係を言うわけではありません。顎の動かし方を噛み合わせといいます。基本的に日本人は圧倒的に奥歯で噛む「噛み癖」があります。食文化の観点や利き手の観点からも仕方がない部分があります。お箸をもってお米を食べると、どうしても奥歯で噛んでしまいます。さらに、日本では「奥歯でしっかり噛む事が大切」「奥歯で食いしばれ」という謎の教えがあったりします。奥歯でばっかり噛んでいると、当然奥歯はすり減ってきます。せっかく28本も歯が生えているのに奥歯しか使っていないと、奥歯にばかり負担がかかってしまい、顎が後方にめり込んでいってしまいます。そうなると、同時に顎の付け根も顎関節にめり込んでいってしまいます。これが顎関節症です。口を開けると音が鳴ったり、痛みを伴ったり、ひどい場合は開ける事が出来なくなってしまいます。
このときによくある間違いが、奥歯がめり込みすぎているから削ってしまえという治療法です。ただでさえ奥歯の使い過ぎで奥歯がすり減り、高さがなくなった分だけ顎がめり込んでいるのに、そこからさらに奥歯の高さを削ってしまうと顎はどんどんめり込んでいってしまいます。この状態を繰り返すと取り返しのつかないことになります。実際こういった状態で、歯を削り続けて症状が悪化してしまったという相談がとても多いです。また、顎関節症だからと考えなしにマウスピースを作るのも非常に危険です。顎が奥にめり込んでいる位置でマウスピースで固定してしまうと、その位置で筋肉がついてしまい、症状はより悪化してしまいます。
即日の非可逆的な治療は注意が必要
顎関節症の主訴でいらっしゃった患者さんに対し、その場で歯を削る行為は非常に危険です。まずは、顎関節症になってい待った根本の原因をしっかりと診断することが大切です。原因の診断さえつけばあとは準じた治療法を行っていけば大丈夫です。
顎関節症は必ず噛み合わせの専門医に診てもらいましょう
噛み合わせに関しての知識が乏しい歯科医院での治療により、顎関節症が悪化してしまうというケースは非常に多いいです。症状を無くすため、また再発を防止するためにも、きちんと「噛み合わせ専門医」での治療をするようにしてください。