症 例
▪️かみ合わせ治療による
気導聴力・骨伝導聴力の改善の場合[読む]
▪️患者さまの体験談(腰痛と歯周病の改善))[読む]






前後的重心偏位で、脊椎椎間板の圧迫が生じるようになる

 噛みぐせ(偏位咀嚼)には、左右と同時に前後的な噛みぐせが存在します。通常堅いものを食べるときなどは、主として奥歯(第一、第二大臼歯)を使うことが多いようで、特に若年者に多くみられる傾向にあります。
 年が経つにつれ、次第に奥歯の咬耗(すりへり)や、むし歯などによる歯の喪失などが起こってきます。すると咬合高径(かみ合わせの高さ)は、奥に行くにしたがって低くなるため、頭部が後方に傾斜することになります。
 そのような頭の後方重心移動が起きる場合、その姿勢を補正するため、胸椎、腰椎のあたりで、調節することになり、腰が前に倒れるいわゆる、猫背姿勢となり、脊椎(頚椎、胸椎、腰椎)は前後的に湾曲度が増すと考えられます。
 このための前後的重心偏位で、脊椎椎間板の圧迫が生じるようになり、各種神経伝達障害に起因する症状も合わせて、現れやすくなると考えられます。
 このような咬合状態で聴力測定を行った結果、大臼歯部偏位咀嚼の人の聴力は、125~500Hz(低周波帯)の低下として、顕著に表れています。この聴力低下パターンは、耳鼻科における突発性難聴パターンに類似した低周波の低下です。
 また、歯科疾患(むし歯や歯周病)などは、奥歯から進行してくることが多く、高齢者に至っては、犬歯が比較的最後まで残るため、犬歯小臼歯部偏位噛みとなってきます。犬歯、小臼歯部咀嚼の場合の聴力値は、2,000~8,000Hz(高周波帯)の低下が顕著です。この聴力パターンは、同時に耳鼻科の老人性難聴パターンと一致しています。

難聴・耳鳴り・めまい症例

臨床例(1)耳鼻科にて老人性難聴と診断を受けた患者さんのかみ合わせ治療による気導聴力・骨伝導聴力の改善の場合

耳鼻科にて老人性難聴と診断を受けた患者さんのかみ合わせ治療による咬合関連聴力低下9年間の経過。
治療経緯
主訴:頭痛、肩こりなどの全身症状があり、かみ合わせ治療で軽減するという情報を得て、その効果を期待して来院。
口腔内状況:右側上顎大臼歯長期欠損、他の部位はおおむね補綴処置は終わっている。(図1)
TMD症状:①右側頭痛②右側肩こり③左側腰痛④耳鳴り⑤右側顎関節症症状あり
咀嚼部位診断:右側の欠損のため左側偏位と診断。
耳鳴りを訴えることから大学病院耳鼻科に依頼したところ耳鳴りの判定法ななく、聴力データをとって初めて左側の難聴(骨伝導、気導共低下)が確認された。(図2)





歯科処置および聴力の回復
歯科処置:長期間欠損していた、右側上顎大臼歯の義歯を作成し、咀嚼指導(左右均等噛み、および通常使用しない前歯部)での咀嚼訓練を行うよう指導。
数ヶ月後、患者さん本人が体の調子が良くなってきたことから(TMD症状はこの時点で、すべて改善)、自発的に再度大学病院耳鼻科に行き、聴力が大幅に回復していることを確認し来院。
図3 聴力(気導、骨伝導)の大幅改善(イコライジング、スタビライジング効果)
図4 作成した上顎義歯
図5 初診時と2回目のオージオデータ(聴力計)のコピー
図6 その後の経過観察オージオデータ











結論
通常老人性難聴は、聴覚器に病変は認められず、自然現象(高齢が原因)とされていたが、すべての老人性難聴と診断を受けた中にも、このようなかみ合わせを改善することで回復する症例が含まれていることが分かりました。
耳鼻科診断において、骨気導差で疾患部位を特定する方法として行われていて、骨導は不変と考えられています。骨伝導聴力は、聴覚器が正常か、異常かを知るための方法で、変動は起こらないとされているが、骨伝導聴力の向上は耳機能そのものの向上が期待できる事を示したことで、画期的なことである。
咬合咀嚼状況の変化に応じて、気導のみならず骨導までが変化することは、聴力低下、特に原因不明とされている疾患において、別の機序(咬合咀嚼関連)で発生しているものと考えても良いのではないかと思います。