症 例
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めまい、立ちくらみは耳鼻咽喉科でいう、いわゆるメニエール病で、その原因は不明とされている病気です。
 ほとんどの人は、通常噛むという行為は主に奥歯でと考え、長年奥歯を使用するうちに、奥歯の噛む面がすり減ってきます。

 そのことによって、あごの間の高さが低くなることで、下顎骨の関節の先端がクッション(関節円板)を圧迫し、側頭骨に、噛みしめ時の物理的刺激をやわらげることなく与えることで、側頭骨内部、三半規管内に存在するリンパ液の動きに影響を与え、めまいなどの症状が起こるものと考えられます。
 どのような時に症状が現れるかというと、急に立ち上がったりする時、精神的に緊張して食いしばっている時、さらに熱いお風呂に入ろうとした時。
 つまり、からだを瞬間的に変えるような動作をした時などに現れますが、原因として、大体奥歯で瞬間的に噛みしめているようで、奥歯での噛みぐせのある方に多くみられます。
 また、聴力を調べてみると、そのような方の多くに、低い音が聞こえにくいという、奥歯での噛みぐせの状態であることが分かります。

めまい外来症例

耳鼻咽喉科にてメニエール病と診断された症例。
41歳女性、左側第二大臼歯部補綴治療と
FAXによる遠隔地咀嚼指導にて改善


メニエール症候群(咬合関連側頭骨症候群) (耳鼻咽喉科において原因不明疾患)
歯科処置『大臼歯抜歯など』で改善される場合が多い。
(咬合関連側頭骨症候群の一つと考えられる)
歯科診断において大臼歯部偏位咀嚼の患者さんに多く見られ、
めまい・立ちくらみ・頭痛・肩凝りなどの症状を伴う。
若年者に多い。
聴力は低周波帯低下が顕著。
犬歯、小臼歯部咀嚼指導にて改善が顕著。

診断と治療経過
大阪の耳鼻咽喉科からの紹介で来院
耳鼻科診断では、メニエールと考え処置を行ってきたが回復傾向ではなく、咬合関連症ではないかということで当院は紹介された。
聴力値は左側低周波が低下しており、症状はメニエール特有の①めまい(回転性)たちくらみ、②偏頭痛・肩こりが著しい姿勢は、頭位が左に傾いている。

口腔内所見および処置
 大臼歯部特に左咬耗が著しい、聴力所見とあわせて左側大臼歯部偏位咀嚼と診断。咬耗があるため顎位は低下している。噛めていない部位は左右前歯・小臼歯部位で、主に左の咀嚼習癖に関連しているものと診断、左右小臼歯部より前方での咀嚼指導を行った。同時にかみ締め癖を軽減すべく緩圧スプリントを作成した。

初診時全身および口腔状況:
平成18年9月6日大阪の耳鼻咽喉科より紹介で来院。
8月中旬より左耳耳閉感あり、左側低周波帯低下治療を行うが向上しない。
顎関節症の症状ではないかということで本院を紹介。
耳鼻科診断名:メニエール病(顎関節症の疑い)

全身症状
左側低周波低下型難聴、回転性めまい、頭痛、肩こり、右腕運動機能低下

口腔内状況
左側下顎第一大臼歯う蝕のため冷水痛あり、右側犬歯および第一小臼歯叢生のため咀嚼困難その他疾患による異常は認められない。

偏位咀嚼状況
左側第一、第二大臼歯部偏位咀嚼(右側犬歯、小臼歯部叢生のため咀嚼しにくい)。

処置:
聴力による偏位咀嚼部位の判定により、暫間固定・原因歯補綴などによる咬合バランスの構築・咀嚼指導による咬合力の均等分散をはかる。

治療経過1
平成18年9月6日大阪の耳鼻咽喉科より紹介で来院。

口腔内審査
オージオメータ(聴力計)にて偏位咀嚼部位判定。
診断用模型およびパノラマレントゲン。

TMD症状の確認
下顎左側第一大臼歯冷水痛部鎮痛処置(偏位咀嚼による負担過重性疼痛)。
処置後左右小臼歯部にて咀嚼運動指導し、2度目オージオメータ計測
計測結果:左側低周波帯向上を確認。

治療計画の作成
1)左側第一大臼歯の補綴(メタルボンド)。
2)左右上顎小臼歯から大臼歯にかけて緩圧(エルコプレススプリント)作成。
3)大阪の耳鼻咽喉科のデータをファクシミリで随時送っていただくことを要請。
4)次回来院するまで、左右小臼歯部で咀嚼訓練するように指導。

治療経過2
2度目来院:
オージオ検査:前回より左側奥かみ傾向は少ない
TMD症状は減少している
上顎左右小臼歯から大臼歯までの緩圧スプリント装着
(夜間のみ使用)

処置:
左側下顎第二大臼歯歯冠形成および印象
引き続き同左右小臼歯部での咀嚼訓練を行うことを指導

患者より改善FAXが送られてくる:
咀嚼指導の効果があり、聴力改善が見られることをこちらからのFAXで知らせ、引き続き同左右小臼歯部での咀嚼訓練を行うことを指導 めまい、立ちくらみ、頭痛、肩凝り、手の運動機能障害などのTMD症状も一回目来院以来起きていないとのこと。
耳鼻咽喉科からのオージオメータデータも正常値が記録されており、耳鼻咽喉科の診断において、メニエール症の改善がありとのこと。


結果と結論
 咀嚼指導において頭位の後左方傾斜が改善し、左側大臼歯顎間距離が離開してきたため、大臼歯補綴を行い、咬合バランスの調整を行った。

結果
 顎関節頭の位置が下がり、顎関節頭の側頭骨への物理的刺激が減少した結果、三半規管への影響が緩和し、めまい・立ちくらみの症状が減少したものと考える。
さらに咀嚼バランス均等化により、頭位が安定したことで、筋肉バランス異常からくる頭痛・肩こり・腰痛などの各種TMDが減少したものと考える。
咀嚼異常は顎関節による聴覚器官へ物理的刺激を直接与えるため、難聴やめまいなどの症状に結びつくもので、メニエールなどの疾患によるものの原因が特定されない場合、原因の一つと考える事も有効な対策であると思うのだが。