噛み合わせ異常から起きる様々な全身症状

 

 腰痛をはじめ、頭痛や肩こり、耳鳴り、めまい、手のしびれなど、全身のさまざまな不調は、実は噛み合わせが原因である場合が少なくありません。
 長年、片よった噛み方を続けていると、常に、噛む歯がすり減り、前後・左右で歯の高さに差が生じます。すると、その差に応じて、頭の位置が傾きます。
 頭が傾けば、バランスを取るために、首や肩の筋肉が異常に緊張します。この状態が長く続けば、背中や腰、ひざなどの骨もゆがみ、全身の不調を招くことがあります。
 さらに、物を噛む際に使う咀嚼関連筋肉は、左右でバランスよく使うことで、頭部の血流を円滑に保つ仕組みになっています。ですから、片よった噛み方が習慣化すると、目や耳、鼻、脳などにも不調が現れることになります。
 このような噛み合わせが原因で起こる不調を「咬合(こうごう)関連症」と言います。整形外科などで治療を続けても、いっこうに改善しない腰痛は、もしかしたら咬合関連症かもしれません。

噛み合わせの異常に関連して起こる様々な症状を、咬合(こうごう)関連症候群といいます

 今お話ししましたように、むし歯や歯列不正などの歯科疾患がある場合、噛みにくいところでは自然と噛まなくなるため、どうしても噛み癖が生じます。噛み合わせ異常は、正常な咬合咀嚼運動機能を阻害し、頭位の位置を変化させ、下部の脊椎症状を始め、姿勢異常など、さまざまな全身症状を引き起こします。
 人間の体は、このバランス異常を正常に戻すため、一部の筋肉が常時緊張した状態になります。この筋肉の緊張が、頭痛、肩こり、腰痛のほか、聴力障害(耳鳴り、めまい、聴力低下)や手足のしびれなどの症状も現れる場合があります。
 さらに噛み癖が進行すると、口を開ける時などに、左右のあごの関節から「カクンカクン」という音がするようになり、口が大きく開かなくなる顎(がく)関節症を発症することになります。

 歯科疾患と全身症状の関係は、古くて新しい課題でありますが、医療器機の急速な進歩とともに近年、解明されつつあり、(咬合関連症・顎関節症)などとして、最近TV・新聞・雑誌メディアなどで取り上げられる機会が増したため、その実態が次第に明らかとなってきました。それに対する社会的注目度も高まってきましたので、ご存知の方も多いと思います。

重心のバランスが悪いと上から下に症状が現れます

 噛み合わせ異常の場合、何が起きるかといいますと、まず噛んでいる側、噛んでいない側があり、噛み過ぎていると、噛み合わせの高さが右と左、前と後ろが変わってきます。
 そうすると、低いところと高いところ、右が高い、左が低い、という形になり、高低差が出来、低い方に頭がズレるような結果になってきます。ズレてくると、ズレを補正するように反対側の筋肉が緊張する。緊張することでどうなるかというと、肩こりが起きる、筋肉緊張線のズレが起きてきます。それで、頭の位置が常時、右や左に倒れていると、こんどは脊椎がいつも同じ方向にねじ曲げられている形になります。
 そうするとねじ曲げられている反対モーメントがさらに下の方に掛かってきますので、右に倒れている場合は、左に引っ張ろうという力が、さらにその下で、右に引っ張ろうという力が、アンバランスになり、反対側の腰痛が起きてくる。ということは重心のバランスが悪いと上から下に肩こりが起き、腰痛が起き、膝の関節が痛くなるということが起こってくるのですが、この時点では、噛み合わせが関係すると考える人は非常に少ないということです。なぜかというと、肩が痛いのは整形、耳が悪いのは耳鼻科、のどが悪いのが耳鼻科、手の運動障害、膝は整形というように各領域の医科に行きますが、それでは分からないということになります。しかしかみ合わせの改善によりこのような症状がかなり軽快することがあります。
 つまり、軽快するということは、何に関係したか、かみ合わせを治したことによって変わってきたということです。これを咬合関連症候群というのです。
 咬合関連症候群がどんどんつづいてくると、顎関節等によって、さらに関節円板が破壊されます。破壊されることによって、ストレスが耳にかかったり、脳にかかったりということになってきます。
 そのために、関節そのものの症状が起こってきます。その関節そのものの症状というのは、口が開き難い、閉じ難い、顎の音がする、顎の痛みがある、こういう症状になってはじめて歯科の病気ではないかと感じるようになってきます。

 それで、歯医者さんに行って、バランスよく噛み合わせを治すことによって症状が軽快することも多いのですけども、時として、歯医者さんに行って、顎関節症と診断されますが、通常顎関節症は口腔外科の対象領域とされていますので、口腔外科に紹介されることがありますが、口腔外科的な対処法に移行することがかなり多いのではないかと思います。
 ところが、そういう顎関節症というものはとにかくバランスよく噛めるような状態を作り出すことによって、今の症状がどんどん消えていく、これが咬合関連症から発生する顎関節症ということになります。

噛み合わせ異常から起きる様々な全身症状

 咬合関連症には、頭痛・肩こり・手足の運動および知覚障害・難聴・めまい・立ちくらみなどがその代表例です。
 噛み合わせ異常により、左右、前後の歯牙の高さなどに影響を与え、頭の重心が変化することにより、脊椎のゆがみを起こします。脊椎のゆがみは、椎間板の変形圧迫などを起こすことにより、領域下の神経伝達障害などを起こし、手足の運動および知覚障害を発生させると考えられています。
 さらに、頭位置異常により、頭位置を正常に保とうとすることによって、頭を支える各種筋肉の緊張が持続することにより、筋肉緊張性頭痛、肩こりなどの原因となって症状が現れます。

●最も多く見られる症状で噛み合わせ治療で、比較的改善される症状は、次のようなものがあります。

1. 頭痛・肩こり・めまい・立ちくらみ・低周波低下型難聴(比較的若年層40代までが多い)突発性難聴やメニエールと診断されるタイプ。
・ 頭痛が起こりやすい
・ 慢性的に肩こりがある
・ 時々、めまい、立ちくらみがおきる

2. 腕がだるい・痺れる・握力低下・腕が上に上げられない・背中に廻せない・などの腕機能障害(整形外科では変形性頚椎症と診断される症状)
・ 40肩、50肩で腕が上がらない

3. 首が左右に廻せない(肩こりの発展型)四十肩・五十肩・腰痛・ヒザ痛など脊椎関連の症状。
・ 首から後頭部が張った感じがある
・ 首が廻りにくくバックの運転がしにくい
・ 40肩、50肩で腕が上がらない
・ しばしば腰痛になる

4. 歩行機能障害・ふらつき・足のもつれ・足の痛み・骨盤の変形・ヒザ関節症状。
・ 膝が痛く階段の上がり下がりが困難
・ 膝の関節が痛い
・ 歩行時ふらつきを感じる

5. 姿勢関連では、猫背・側湾・斜頚など
・ ぎっくり腰になった
・ 深呼吸をすると胸や背中が痛い
・ 上を向いて眠れない
・ 最近、ねこぜになってきている

6. 自律神経失調症と診断される多くの不定愁訴

7. 原因不明の歯の痛み
・ 特に大臼歯の突然の痛み(虫歯などの原因がない)

8. 歯周病の治療をおこなっているが改善されず、最後に抜歯に至る難治性歯周病
・ 難治性歯周病

9. 顎関節症
・ 顎が外れやすい
・ 口を開ける時、関節部に音がする
・ 口を開ける時、関節部に痛みを感じる
・ 口を開ける時、関節部がひっかかり開けられない
・ 全く口が開けられない

●比較的改善しにくい症状

10. 耳鳴り
・ 高周波低下型難聴(高齢者に多い)老人性難聴タイプ
・ 耳痛、耳閉塞感がある
・ 耳鼻科に行って原因不明の(老人性または突発性難聴)と診断された。